結婚することを、婚姻するとも言いますが、婚姻する場合には、役所に夫婦で婚姻届を提出しますよね。

通常は、これで晴れて夫婦となるわけですが、婚姻が無効となる場合があるのです。

ここでは、どんな場合に婚姻が無効となってしまうのかについて、その要件と具体例をご説明します。

婚姻が成立する要件

一般的に、婚姻が成立するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  • 戸籍の届出(届出をする意思の存在)
  • 婚姻意思の存在

戸籍の届出というのは、「婚姻届」のことです。記事の冒頭でご説明したとおり、婚姻届を役所に提出しないと、夫婦にはなれません。

また、婚姻意思も当然なければ、夫婦とはなれません。婚姻意思とは、文字どおり、婚姻して夫婦として一緒に共同生活をしていくという意思です。

婚姻が無効となる場合

婚姻が有効に成立するためには、上で示しました2つの要件を満たす必要があり、どれか一つでも不足すれば、婚姻は無効となります。

事実上の夫婦(内縁関係)であっても、婚姻の届出をする意思がお互いになければ、たとえ届出をしたとしても無効です。

⇒ 婚姻の意思はあるが、届出の意思がない場合

また、まったく婚姻する気がないのに、婚姻の届出をしても、これも無効です。偽装結婚がこれにあたります。

⇒ 届出の意思はあるが、婚姻の意思がない場合

民法に次のように規定されています。

(婚姻の無効)
第七百四十二条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
二 当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。
(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
me

条文のとおり、婚姻の届出は、婚姻する当事者(夫婦となる者)と、成年の証人2人以上の署名によって行います。

具体例1(届出の意思がない場合)

それでは、婚姻の届出の意思がない場合として、次のような例を考えてみましょう。

例1

花子と太郎は事実上の夫婦(内縁関係)である。

花子は太郎に何の相談もなく無断で、婚姻届を出した。

太郎は後にそれを知ったが、これを放置したまま、これまで通り花子と生活を続けた。

さて、上のような場合、婚姻は無効となるでしょうか。

婚姻が成立するためには、「婚姻の届出をする意思」と、「婚姻する意思」が要件となります。

ですが、例では、花子は太郎に無断で婚姻届を提出しています。

太郎は当初、その事実を当然知らないわけですから、この時点で太郎に届出の意思はありません

では、この婚姻は無効となってしまうのでしょうか。実は、この例は少し複雑なパターンなのです。

本来なら、太郎に婚姻の届出の意思がないので、婚姻は無効です。

しかし、太郎はその後にこの事実を知ってからも、特別何の行動もとらずに放置して内縁関係を続けていますね。

このため、裁判例では、届出の後に、婚姻届を認める意思が太郎に生じたとして、婚姻を有効と判断しています。

そして、この婚姻は届出時にさかのぼって有効であるとされています。

具体例2(婚姻の意思がない場合)

続いて、婚姻の意思がない場合の具体例を見てみましょう。

太郎と花子の間には、事実上の夫婦の関係がなく、まったく婚姻関係を築く意思がないが、婚姻の届出を2人合意のもと行った。

何か特定の目的を達するために婚姻をするという、いわゆる偽装結婚の場合です。

この例についての裁判例は明解です。民法の条文どおりの扱いとなります。

つまり、「当事者間に夫婦としての共同生活をする意思がない」場合は、たとえお互いに婚姻届を出す意思があったとしても、婚姻は無効である、としています。

まとめ

婚姻が無効となる場合があること、無効となる具体例についてご紹介しました。

内縁関係であって、婚姻届を出そうとしている場合には、お互いでよく話し合いましょう。

そして、夫婦として共同生活をおくる意思がない婚姻は無効となります。ご注意ください。