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戸籍謄本とか、戸籍抄本とか、いったい何ですか?違いがわかりません。

行政書士 タカ行政書士 タカ

今回は戸籍謄本と戸籍抄本の違いを解説します。

この記事では、戸籍謄本、戸籍抄本の違いを見本でわかりやすく解説していきます。

戸籍謄本と戸籍抄本の読み方、言葉の意味

戸籍謄本や戸籍抄本は書面に記載された言葉を目にすることが多いと思うので、実際の読み方をご存知ない方もいらっしゃるでしょう。

ですが役場の窓口で請求するには、これらの読み方を知らなければ、伝えようがありません。

以下、読み方を示します。

  • 戸籍謄本:こせきとうほん
  • 戸籍抄本:こせきしょうほん

戸籍については大丈夫でしょう。謄本は「とうほん」、抄本は「しょうほん」という読み方をします。

 

ちなみに謄本、抄本の意味を辞書で調べてみますと、次のとおりでした。

  • 謄本:原本の内容を全部写して作った文書
  • 抄本:原本のある一部分を書き抜いたもの

イメージとしては、謄本は「全部」、抄本は「一部」という理解でよいでしょう。

ということで、戸籍謄本は「戸籍の全部」、戸籍抄本は「戸籍の一部」という意味になりそうです。そんなに難しいことはないですね。

 

【簡単】戸籍謄本と戸籍抄本の違いを見本で解説!

何かの手続きで戸籍の証明が必要となったとき、「戸籍謄本を提出してください。」とか「戸籍抄本でいいですよ。」とかお聞きになったことがあるかと思います。

では、この戸籍謄本と戸籍抄本の違いは何でしょう。明確な違いがわからなければ、提出先から注意されるかもしれません。

この記事でしっかりとご理解くださいね。

戸籍謄本と戸籍抄本の違い① 戸籍謄本は原本全部の写し

戸籍謄本とは、役場に保管されている戸籍の原本全部を写した(複写した)書面のことをいいます。

(戸籍の原本に何が記載されているかは、後ほど解説します。)

原本の全部なので、発行された書面には、その戸籍に入っている家族全員分の記載が写されます。

つまり、役所の窓口で、「戸籍謄本を交付してください。」というと、交付された書面には、請求した戸籍に含まれる家族全員分の記載があります。

たとえば、父親を筆頭者とする戸籍の「家族全員」の証明が必要ならば、戸籍謄本の交付請求をすればいいのです。

参考までに、以下に戸籍謄本の見本を示します。

各欄に記載される事項の説明は以降でします。

戸籍謄本と戸籍抄本の違い② 戸籍抄本は原本一部の写し

戸籍抄本とは、戸籍の原本の一部を抜き出して写した書面のことをいいます。請求された特定の個人のみの記載が写されます。

つまり、役所の窓口で、「だれだれの戸籍抄本を交付してください。」というと、交付された書面には、請求した戸籍に含まれる「指定した特定の個人」についての記載のみがあります。

たとえば、父親を筆頭者とする戸籍の「私(子)」だけの証明が必要であれば、私の戸籍抄本を請求すればいいのです。

交付された戸籍抄本には、他の家族の記載はありません。

参考までに、以下に戸籍抄本の見本を示します。

上記は、筆頭者「静岡太郎」の戸籍において、妻である「静岡浜子」の戸籍抄本になります。妻以外の家族については記載されていません。

各欄に記載される事項の説明は次でします。

戸籍謄本と戸籍抄本に記載される事項【原本記載事項】

戸籍謄本も戸籍抄本もどちらも役場に保管される「戸籍の原本」からの写しとなります。

戸籍の原本に記載されている内容をご説明していきます。

本籍・筆頭者氏名の欄

戸籍がある本籍地と、その戸籍の筆頭者氏名が記載されます。本籍と筆頭者氏名は戸籍の請求をする上で、索引の役割を果たします。

ですので戸籍を請求するときは、「本籍地~、筆頭者~の戸籍謄本を交付してください」のように申請します。

なお、戸籍の筆頭者とはその戸籍の代表者とも言え、結婚した夫婦の戸籍では、夫婦の氏(姓)に選ばれた側(夫または妻)の氏名が筆頭者氏名に記載されます。

戸籍事項欄

戸籍事項欄には、その戸籍に記載されている全員に共通する次の事項が記載されます。

  • 新しい戸籍の編製(作成)事項
  • 氏の変更事項
  • 転籍事項
  • 戸籍全部の消除事項
  • 戸籍全部にかかる訂正事項
  • 戸籍の再製または改製事項

 

身分事項欄

身分事項欄には、戸籍に記載される各個人の身分的な事件(出来事)について記載されます。

主な記載事項を以下に示します。

  • 出生に関する事項
  • 認知に関する事項
  • 養子縁組、離縁に関する事項
  • 婚姻または離婚に関する事項
  • 親権または未成年者の後見に関する事項
  • 死亡または失踪に関する事項
  • 推定相続人の廃除に関する事項
  • 入籍・分籍に関する事項
  • 国籍の得喪に関する事項
  • 氏・名の変更に関する事項

身分事項には、人が生まれて、結婚や離婚をし、子が生まれ、最後に死亡する、という一連の出来事が記載されるのです。

 

戸籍謄本と戸籍抄本の値段(交付手数料)

戸籍謄本と戸籍抄本の交付手数料は基本的に450円です。

記載される内容は全部と一部で差がありますが、料金に違いはありません。

ですので、とくに指定がなければ、戸籍謄本の交付請求をしておけば問題ないでしょう。

逆に、戸籍抄本で良いと指示されている場合で、他の家族の記載を知らせたくないのであれば、戸籍抄本を請求すれば良いでしょう。

 

参考までに① 全部事項証明書と個人事項証明書

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よく戸籍の全部事項証明書とか個人事項証明書とかも聞きます。戸籍謄本とかと何が違うのでしょう。

非常に簡単にご説明すれば、戸籍の全部事項証明書や個人事項証明書とは、戸籍謄本、戸籍抄本がそれぞれ新しくなった姿と言えます。

現在では役場窓口で戸籍謄本や戸籍抄本を請求すれば、ほぼ間違いなく全部事項証明書、個人事項証明書が交付されます。

ですので、戸籍の全部事項証明書、個人事項証明書についても、ご理解いただくことをお勧めします。

くわしくは以下の記事にまとめています。

おすすめ戸籍の全部事項証明書とは?見方・戸籍謄本との違い|行政書士が解説

参考までに② 相続で収集するのは戸籍謄本(全部事項証明書)です

相続手続きの中で戸籍を収集する場合には、戸籍謄本や全部事項証明書を集めることになります。

理由は、被相続人(亡くなられた人)と相続人との親族関係を明らかにする必要があるため、個人の記載だけの戸籍抄本や、個人事項証明書では情報が不足しているためです。

相続手続きを控えた方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。

おすすめ出生から死亡までの戸籍が必要?相続で戸籍が必要なわけ

まとめ

戸籍謄本と戸籍抄本の違い、全部事項証明書と個人事項証明書についてご紹介してきました。

これらの違いを正確に理解されている方は案外少ないのではないのでしょうか。役所で窓口の方に質問すれば教えてもらえるとは思いますが、そうでもしなければ、知る機会はほとんどないからです。

生きていれば、戸籍を取り寄せたり、確認したりする機会は必ずあります。

この記事で少しでも疑問が解決できれば幸いです。