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特別養子縁組が成立する条件と、手続きについて教えてください。

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初めまして。行政書士の大石です。特別養子縁組の制度についてご説明していきます。

この記事では、特別養子縁組の制度趣旨、縁組の条件、家庭裁判所での手続きについて解説していきます。

特別養子縁組の制度とは?

特別養子縁組とは、養子となる子とその実親との親子関係を、完全に消滅させる縁組です。つまり、完全に親子の縁を切ってしまうのです。

特別養子となった子は、養親の実の子として育てられることになります。この点で、一般的な普通養子縁組とは異なります。普通養子縁組の場合、養子と実親の親子関係は消滅することなく、継続します。

それでは、いったいなぜ、このような特別な制度が存在するのでしょうか。これは、子の福祉を図るためというのが理由です。

たとえば実親が、精神的、身体的、経済的な事情により、子の養育ができない場合があります。さらには、虐待や遺棄など、子の利益が著しく害されるような場合もあります。

これらの場合に、子の利益を守るために、特別養子縁組という制度があるのです。実親との関係を断絶してしまうだけに、縁組が認められる要件は細かく決められています。

特別養子縁組の条件

特別養子縁組が成立するためには、最低限、次の条件を満たしている必要があります。

  • 養親となる者は配偶者がおり、夫婦共同で縁組する
  • 養親となる者は25歳以上である
  • 特別養子となる子は15歳未満である
  • 実父母の同意があること
  • 子の利益のための特別の必要性がある
  • 養親となる者に特別養子となる子の監護実績がある

それぞれの条件について、具体的にご説明していきます。

養親となる者は配偶者がおり、夫婦共同で縁組する

特別養子縁組とは、両親のもとで、実子として養子を育てる制度です。

そのため、特別養子縁組をする場合には、養親は必ず夫婦であり、夫婦そろって縁組をしなければなりません(共同縁組)。

ただし例外として、夫婦の一方が他の一方の嫡出子と縁組する場合、例えば配偶者の連れ子と縁組するような場合では、夫婦共同縁組でなくても良いとされています。

(養親の夫婦共同縁組)
第八百十七条の三 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない
2 夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。

(出典:e-gov-民法

養親となる者は25歳以上である

特別養子縁組の養親となる親は、25歳以上でなければなりません。

ですが、夫婦の一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上であれば問題ないとされています。

(養親となる者の年齢)
第八百十七条の四 二十五歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。

(出典:e-gov-民法

特別養子となる子は15歳未満である

養親となる者が特別養子縁組の請求(申立て)を家庭裁判所にする時に、特別養子となる子が15歳に達している場合、縁組はできません。

そのほか、縁組の請求時点で15歳未満であっても、縁組の成立まで時間がかかり、18歳に達した場合も同様に縁組は認められません。

ただし例外として、養子となる子が請求の時に15歳に達していても、子が15歳に達する前から継続して養親となる者に監護されている場合で、15歳までに家庭裁判所に請求できなかったことにやむを得ない事由があれば、縁組が認められるとされています。

なお、養子となる子が15歳に達している場合では、特別養子縁組の成立にはその子の同意が必要となります。

(養子となる者の年齢)
第八百十七条の五 第八百十七条の二に規定する請求の時に十五歳に達している者は、養子となることができない。特別養子縁組が成立するまでに十八歳に達した者についても、同様とする。
2 前項前段の規定は、養子となる者が十五歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、十五歳に達するまでに第八百十七条の二に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、適用しない。
3 養子となる者が十五歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならない。

(出典:e-gov-民法

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特別養子縁組の成立に年齢が条件とされているのは、あまりに子が成長していると、実の子として育てるのには無理があること、成人に近づけば子は自ら生活できること、などが考えられます。

実父母の同意があること

特別養子縁組が成立するには、養子となる子の実親(父母)の同意がなければなりません。

ただし、実親がその意思を表示できない場合や、実親による虐待、悪意の遺棄その他養子となる子の利益を著しく害する事由がある場合は、実親の同意が不要となります。

(父母の同意)
第八百十七条の六 特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。

(出典:e-gov-民法

子の利益のための特別の必要性がある

特別養子縁組とは子の利益を第一に考えた、子のための制度と言えます。

そのため、実父母による養子となる子の監護が著しく困難又は不適当であること、その他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、家庭裁判所の審判によって成立します。

(子の利益のための特別の必要性)
第八百十七条の七 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。

(出典:e-gov-民法

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普通養子縁組とは異なり、特別養子縁組には厳格な要件が定められているのですね。

養親となる者に特別養子となる子の監護実績がある

特別養子縁組が成立するためには、養親となる方が養子となる子を6ヶ月以上監護している実績が必要です。

特別養子縁組を有効に、円滑に成立させるためにも、あらかじめ養子となる子と同居し、監護に慣れておく必要があります。

(監護の状況)
第八百十七条の八 特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない
2 前項の期間は、第八百十七条の二に規定する請求の時から起算する。ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。

(出典:e-gov-民法

 

特別養子縁組の手続き、申立て【家庭裁判所】

特別養子縁組を成立させるためには、下記2つの申し立てを同時に家庭裁判所にしなければなりません。

  • 特別養子適格の確認の申立て
  • 特別養子縁組の成立の申立て

基本的には各申立てに関する申立書を裁判所HPからダウンロードして記入し、必要な書類とともに提出することになります。

申立人、申立先、費用、必要書類について以下に示します。

申立人

養親となる者です。

申立先

養親となる者の住所地の家庭裁判所です。

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申立てに必要な費用

  • 収入印紙800円分(養子となる者1人につき)
  • 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお,各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)
  • 特別養子適格の確認の申立てについては,収入印紙は不要です。

申立てに必要な書類

申立てには次の書類がそれぞれ必要です。

特別養子適格の確認の申立て 特別養子縁組成立の申立て
  • 申立書1通
  • 養子となる者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 養子となる者の実父母の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申立書1通
  • 養親となる者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 同じ書類は1通で足ります。
  • もし,申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は,その戸籍等は申立後に追加提出することでも差し支えありません。
  • 審理のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。

 

なお、申立書の記載例は裁判所HPにて説明されています。

まとめ

以上、特別養子縁組の制度、条件、手続きについてでした。特別養子縁組には厳格な条件がいくつも定められており、縁組成立までのハードルが高いと言えます。

縁組を予定される方は、前もって準備をしておきましょう。