養子縁組をする予定です。届の書き方と、手続きについて教えてください。
こんにちは。今回は、養子縁組の届出について、わかりやすく解説していきます。
養子縁組とは、血縁(血のつながり)による親子関係がない者や、嫡出親子関係がない者の間に、嫡出親子関係を創設する法律行為とされています。
ちょっと難しいですが、養子縁組が成立すると、養子となった子は養親の嫡出子としての身分を取得します。
嫡出子なので、婚姻関係にある男女から生まれた子と同じ身分であるということですね。
養子縁組は戸籍の届出(養子縁組届)をすることで成立しますが、養子となる子が未成年者の場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。
この記事では、以下の内容を解説していきます。
- 養子縁組届出の手続き
- 届書の書き方(記載例)
- 家庭裁判所での手続き、必要書類、申立書の書き方
養子縁組届の手続き(市区町村役場にて)
まずは養子縁組届の手続きについてお話していきます。
養子縁組は戸籍の届出(養子縁組届)をすることで成立します。
基本的な流れとしては、各市区町村役場の窓口で養子縁組届の用紙をもらってきて、必要事項を記入し、添付書類とともに提出する形です。
それでは具体的な手続き、届書の書き方、添付書類などについてご説明していきます。
届出人
養親及び養子(養子が15歳未満の場合は法定代理人)が届出人となります。
ここでの法定代理人とは、子に親権者である父母がいれば父母であり、親権者である父母がいないときは未成年後見人となります。
届出の要件
養子縁組の届出をするにあたり、下記の要件を満たしている必要があります。前もってご確認ください。
う~ん、たくさんありますね。。
たくさん要件がありますが、大切なことなので1つ1つゆっくり読んでみてくださいね。
- 養親となる者が成年に達していること
- 養子となる者が養親となる者の尊属または年長者でないこと
- 養子となる者が養親となる者の嫡出子又は養子でないこと
- 後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう)を養子とする場合には、家庭裁判所の許可があること
- 配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、養子が配偶者の嫡出子であるとき又は配偶者がその意思を表示することができないときを除き、配偶者とともに縁組をすること
- 配偶者のある者が養親又は養子となる場合には、配偶者とともに縁組をするとき又は配偶者がその意思を表示することができないときを除き、配偶者の同意があること
- 養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人がこれに代わって縁組の承諾をすること。この場合に、法定代理人以外に養子となる者の父母でその監護をすべき者があるときは、その監護者の同意を得る必要がある(養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも同様。)
- 養子となる者が未成年者であるときは、家庭裁判所の許可があること。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合を除く
(参照:初任者のための戸籍実務の手引き, 戸籍実務研究会 編)
養子となる子が15歳未満の場合、その子は単独で養子縁組の意思表示ができません。この場合、その法定代理人が子に代わって縁組の承諾をすることになります。
養子となる子が15歳以上であれば、単独で養子縁組の承諾(届出)を行うことができます。
必要書類、添付書類
以下に必要書類、添付書類、その他必要なものを記載します。
必要書類、添付書類 | 備考 |
養子縁組届 |
市区町村役場の窓口で受け取る |
戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本) | 養親、養子のそれぞれにつき1通(本籍地の市区町村へ届出する場合は不要) |
家庭裁判所の縁組許可の審判書の謄本 | 未成年者を養子とするとき(自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合を除く)又は後見人が被後見人を養子とするとき |
窓口に来た方の本人確認書類 | 窓口に来られた方の、顔写真が付いている官公署発行の本人確認書類(運転免許証、旅券(パスポート)、マイナンバーカード、写真付きの住民基本台帳カードなど) |
届出人の印鑑 |
上記の他にも、市区町村によってはさらに書類の提出を要求される場合があります。詳細は各市区町村役場にお問合せください。
また、養子縁組届では、証人2名(成人の方)の署名押印が必要です。必要なこととして、気に留めておいてくださいませ。
手数料
手数料は基本的にかかりません。
養子縁組届書の書き方(記載例)
養子縁組届書の記載例を以下に掲載します。届書は市区町村役場の窓口にてお受け取りください。
記載例は、下記の2つの事例に分けてご紹介します。
- 成人の方を養子とする場合
- 15歳未満の子を養子とする場合
(法定代理人が代わって縁組の承諾をする場合)
ケース1:成人の方を養子とする場合
以下に養子縁組届書の記載例を掲載します。
なお、下記に示します記載例は、新潟市HPより引用しております。とても丁寧にわかりやすくまとめられていたので、引用させていただきました。
以下に示しますのは、成人の方を養子とする場合の記載例です。
画像クリックで拡大表示します。
養子となる方の氏名、生年月日、住所、本籍を記載します。本籍は養子となる方が在籍する戸籍謄本を参照し、「本籍地」と「筆頭者氏名」を記載しましょう。
続いて、養子となる方の父母の氏名と続き柄を記載します。父母が婚姻関係にある場合は、母の姓は記載しません。父母が婚姻関係にない(離婚している)場合には、それぞれの現在の姓を記載します。
上記の例は養子が成人の場合(当然15歳以上です)であり、養子は単独で縁組を有効に行うことが可能なので、養子自身が「届出人」の欄に署名、押印します。(例では「石山隆志」さんが署名押印しています)
養親となる方の情報も同様に書いていきます。
配偶者がいる人が単独で養子縁組を行う場合には、配偶者の同意を得なければなりません。
「その他」の欄には、配偶者から同意がある旨を記載しましょう。(例:「この縁組に同意する。 配偶者 山田花子 ㊞」など)
「届出人」の欄に、養親となる者が署名、押印します。
そして、最後に証人2名(成人の方)による署名、押印を記載します。
欄外の捨印も忘れずしましょう。
証人は誰でもいいのですか?周りにあてがないのですが…
証人は成人なら誰でも構いません。ちなみに、証人が見つからない方は、証人代行サービスに依頼する、という方法もあります。参考までに。
なぜ配偶者のある方が単独で養子をとる場合に配偶者の同意が必要なのか…
それは、相続のときに問題となります。
例えば、AさんとBさんは夫婦で、Aさんが単独でCさんを養子に迎えるとします。すると、Aさんが亡くなった場合、Aさんの相続人は配偶者のBさんと養子のCさんになります。
ですが、もしもAさんが養子縁組をしていなければ、Aさんの全財産をBさんが相続できました。そのため、Aさんが養子縁組をするということは、配偶者のBさんにとってとても重大な関心事なのですね。そのため配偶者の同意が必要なのです。
ケース2:15歳未満の子を養子とする場合
15歳未満の子を養子とする場合の届出書の記載例を以下に示します。
15歳未満の子は単独で養子縁組の意思表示をすることが認められていないため、その子の法定代理人が代わって縁組の承諾を行うことになります。
なお、以降でも詳しくご説明しますが、未成年者を養子とする場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。
下記に示します記載例は、新潟市HPより引用しております。とても丁寧にわかりやすくまとめられていたので、引用させていただきました。
画像クリックで拡大表示します。
基本的な書き方は、1つ前でご説明した「成人の方を養子とする場合」と同様です。
「監護をすべき者の有無」の欄で当てはまる項目にチェックを入れましょう。
「届出人署名押印」欄ですが、この例は養子が15歳未満の場合なので、養子は署名、押印しません。その代わりに、当該欄の下部にある「届出人」欄に親権者又は法定代理人が住所、本籍を記載し、署名押印します。
なお、配偶者のある者が単独で養子をとる場合、配偶者の同意が必要です。同意を得た旨を「その他」欄に記載しましょう。
あとは届出人と証人2名が必要事項を記載して署名、押印します。
家庭裁判所の手続き(養子縁組許可の申立て)
未成年者を養子とする場合、又は後見人が被後見人(未成年被後見人および成年被後見人)を養子とする場合には、家庭裁判所の許可が必要です。
具体的には、家庭裁判所に養子縁組許可の申立てを行います。
- 申立人
養親となる者
- 申立先
養子となる者の住所地の家庭裁判所
管轄裁判所を調べたい方はこちら
- 申立てに必要な費用
収入印紙800円分(養子となる者1人につき)、連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)
- 申立てに必要な書類
・申立書
・申立人(養親となる者)の戸籍謄本(全部事項証明書)
・未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
・未成年者が15歳未満の場合,代諾者(法定代理人)の戸籍謄本(全部事項証明書)
必要に応じて、さらに追加で書類の提出が必要となる場合があります。
申立書の記載例
申立書の記載例を以下に掲載します。なお、下記記載例は裁判所HPを参照しております。
画像クリックで拡大表示します。
上記記載例のとおり、申立書を作成しましょう。
その他ご不明な点については、最寄の家庭裁判所に問い合わせてみましょう。
とりあえず、養子縁組届の届出が理解できました。さっそく役所に問い合わせてみます。
要チェック養子縁組の基礎知識まとめ(届出、戸籍その他)
養子縁組や離縁、届出などに関する基礎知識をまとめたリストです。お好きな記事からご覧ください。