特別養子縁組とは、家庭裁判所の審判によって行われ、成立した場合は特別養子と実親との親子関係が完全に消滅する縁組です。

ここでは、家庭裁判所の審判により特別養子縁組が成立した後の、戸籍の届出(特別養子縁組届)について、その手続き、届書の書き方(記載例)、必要書類などについてご説明していきます。

特別養子縁組届出の手続き

特別養子縁組届の手続きについてご説明していきます。

届出期間や届出の要件が厳格に決められているので、注意深くお読みください。

届出人

審判を請求した養父又は養母

※冒頭でご説明しましたとおり、特別養子縁組は家庭裁判所での審判によって行われます。

届出先

届出人の本籍地または所在地の市区町村役所

届出期間

特別養子縁組の審判が確定した場合は、審判が確定した日から10日以内

届出の要件

特別養子縁組の届出をするにあたり、下記の事項をすべて満たしている必要があります。

特別養子縁組が成立するための要件、家庭裁判所への申立てについても重要なのでお読みください。

  • 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない
  • 養親となる者は、夫婦の一方が他の一方の嫡出である実子又は特別養子と縁組をする場合を除き、その配偶者とともに縁組をすること
  • 養親となる者は、25歳以上でなければならない。ただし、夫婦がともに養親となる場合において、一方が25歳に達している場合は、他方は20歳に達していればよい
  • 特別養子となる者は、家庭裁判所に特別養子の審判の申立てをする時に6歳未満でなければならないが、その者が6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合には、上記の申立ての時に8歳未満であれば足りる
  • 特別養子縁組を成立させるためには、特別養子となる者の父母の同意を得なければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他特別養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、当該父母の同意は要しない
  • 父母による特別養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に特別養子縁組の必要があると認められること
  • 家庭裁判所は、特別養子縁組の審判を成立させるには、養親となる者が特別養子となる者を6か月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない

(参照:初任者のための戸籍実務の手引き, 戸籍実務研究会 編)

上記のとおり、特別養子縁組が認められるための要件は厳格に定められています。

行政書士 タカ行政書士 タカ

特別養子縁組をお考えの方は、ご自身の状況が上記の要件を満たしているかどうか、又は満たすことが可能かどうかをご確認ください。

必要書類

特別養子縁組の届出をするにあたり、以下のものが必要となります。

特別養子縁組届は市区町村役場の窓口(担当課)で受け取りましょう。担当課が不明な場合には、役所の窓口に問い合わせてみましょう。

必要書類 備考
特別養子縁組届書 市区町村役場の窓口にて受け取りましょう。
家庭裁判所の審判書の謄本及び確定証明書
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
養父母のもの(届出地が本籍地ではない場合)
届出人の印鑑

市区町村によっては、さらに別の書類の提出を求められる場合も考えられます。その場合は担当職員の指示に従いましょう。

特別養子縁組届の書き方(記載例)

それでは、特別養子縁組届の書き方についてご説明していきます。

まずは届書のサンプルをご覧ください。

届書のサンプル

特別養子縁組の届書のサンプルを以下に示します。以下は大阪市HPより引用したものです。

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届書のフォーマット(書式)は基本的に上記の通りとなります。

市区町村役場の窓口にて、上記の特別養子縁組届を受け取りましょう。

届書の記載例

特別養子縁組届の記載例を以下に示します。

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(参照:初任者のための戸籍実務の手引き, 戸籍実務研究会 編)

書き方の説明

養子になる人の「氏名」について、氏は縁組前の氏を記載します。(縁組後は特別養子は養親夫婦の氏となります。縁組前は実父母の氏ですね。)

「父母の氏名、父母との続き柄」には実父母の氏名と続き柄を記載します。とはいえ、家庭裁判所での特別養子縁組の審判により、養子となる者と実父母との親子関係は既に消滅しています。

「養父母との続き柄」には、養子となる者と養父母との続き柄を記載します。養父母に他に子がいれば、その子も含めて出生順に続き柄を記載しましょう。

 

画像クリックで拡大表示します。

(参照:初任者のための戸籍実務の手引き, 戸籍実務研究会 編)

書き方の説明

養親となる者の氏名、生年月日、住所、本籍を順番に記載していきましょう。

配偶者の嫡出である実子又は特別養子を特別養子とする場合以外は、夫婦そろって縁組をする必要があります。(「届出の要件」上から2つ目を参照)この場合、養父母双方の氏名を記載します。

最後に、届出人である養父母が署名・押印します。

まとめ

特別養子縁組届の手続き、届書の書き方について一通りご説明してきました。不明な点は、市区町村役場の窓口に問い合わてみましょう。

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