最近は外国人と結婚する人が増加してきています。これもグローバル化の影響といえるでしょう。
では、日本人が外国人と結婚した場合、戸籍にはどう表記されるでしょうか。
そもそも、外国人は日本の戸籍に入籍することができるのでしょうか。
今回は、日本人と外国人が結婚した場合に、戸籍にどう表示がされるのかについて、お話したいと思います。
外国人は日本の戸籍には入れない!
結論から言いますと、外国人は日本の戸籍に入ることはできません。
何故なら、外国人は日本国籍を有さないからです。
日本国籍がない外国人は、日本の戸籍に入ることはできないのですね。
外国人が日本の戸籍に入るためには、帰化(きか)するという方法があります。
帰化とは、自国の国籍を捨て、他国の国籍を取得することです。
つまり、日本国籍を取得して、日本国民になってしまえば、外国人であっても日本の戸籍に入ることができます。
外国人と結婚した場合の戸籍の表示
通常、日本国民同士で結婚した場合は、新しく夫婦の戸籍が編製(作成)されます。
つまり、夫婦が同一の戸籍に入るわけですね。
しかし、既にお話したように、外国人と結婚した場合には、外国人は帰化でもしない限り、戸籍に入ることができませんでした。
では、外国人と日本人が結婚した場合には、具体的にどんな形で戸籍が編製されるのかについて、見ていきましょう。
次の具体例を考えます。
平成6年5月9日に長男の一郎を出産した。
まず、この場合は日本人配偶者である鈴木花子を筆頭者として、新しい戸籍が編製されることになります。
以下に編製された戸籍の見本を示します。
※下記戸籍の例は、平成6年の戸籍改製で、戸籍がコンピュータ管理されるようになる以前の様式です。
赤字の箇所に注目してみてください。
まず、平成5年6月7日に外国人のマイケル・スミスと結婚したことにより、同じ日に上記戸籍が編製されていることが、「本籍」欄の隣の「戸籍事項」欄からわかりますね。
「戸籍事項」欄とは、上記の見本で「本籍」と記載された欄のすぐ左隣の欄を言います。上の例では、「平成五年六月七日編製~」と記載されている欄ですね。
同じく戸籍事項欄に、「戸籍法107条2項の氏変更届出」とありますね。
戸籍法107条2項には、下記のとおり定められています。
外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
結婚日が平成5年6月7日であり、氏を改めたのが平成5年12月1日です。
つまり、結婚日から6ヵ月以内に、鈴木からスミスの氏に変更の届出をしているのです。
そして、筆頭者の「氏名」欄も「鈴木花子」から「スミス花子」に修正されているのがわかります。
花子の身分事項欄には、アメリカ合衆国籍のスミス・マイケルと結婚した旨が記載されています。
「身分事項」欄とは、先ほどご説明した戸籍事項欄の左隣の欄です。
マイケルさんは戸籍に入ることができませんが、上記のように記載がされるので、それを確認することで、外国人との結婚について把握することは可能です。
最後に、子の一郎くんの欄を見てください。父と母の表示があります。
父にスミス・マイケル、母にスミス・花子と記載されていますね。
外国人の相続ってどうなる?
外国人と結婚した場合には、既にご紹介したとおり、外国人が日本国籍を取得していなければ戸籍に入ることはありません。
では、仮にこの外国人が亡くなった場合、相続はどう扱われるのでしょうか。
結論として、相続については、被相続人(亡くなられた人)の本国法によるとされています。
つまり、亡くなった方が外国人の場合は、その方の国籍のある国の法を確認しなければなりません。
亡くなったのが日本人配偶者の場合では、外国人配偶者は日本の民法に従った相続権を有することになります。
まとめ
今回は外国人と結婚した場合の戸籍についてご紹介しました。
今後、ますますグローバル化が進めば、日本人の中でも外国人と結婚する人はどんどん増えていくでしょう。
戸籍は相続手続きでも頻繁に関わってくる重要な資料です。この機会にぜひ、ご自身の戸籍を取得されてみてはいかがでしょうか。