養子をとる人『養子縁組を考えています。
養子縁組をすると、わたしや養子の戸籍には何て記載されますか?わかりやすく教えて下さい。』

こんな疑問にお答えします。

こんにちは。行政書士の大石です。この記事では、下記のテーマで解説していきます。

記事のテーマ
  • 養子縁組をすると養親、養子の戸籍に何て記載されるかについて
  • 養子縁組をした場合の相続関係がどうなるかについて
  • 普通養子縁組と特別養子縁組の違いについて

もっと知りたい方へ

養子縁組の手続き(届出)、養子縁組の解消(離縁)、養子縁組と戸籍の表示(記載例)、養親の相続など、養子縁組に関する多くを以下の記事でまとめています。

養子縁組とは?縁組や解消の手続き、戸籍の記載、相続との関係を解説!

養子縁組、離縁の「証人」を代行します!

養子縁組届、養子離縁届では成人の証人2名が署名・押印することが必須です。

ですが、次のような理由で証人がなかなか見つからず、お困りの方が多いです。

  • 複雑な家庭事情から、証人になってくれる人がいない
  • 親戚や身内に世話をかけたくない
  • 離縁したことを知られたくない

そこで、当事務所では養子縁組届・離縁届の証人代行サービスを承っております。お困りの方はぜひご利用ください。丁寧かつ迅速に対応致します。

なお、行政書士には守秘義務がありますので、安心してご依頼ください。

お手続きの詳細は養子縁組届・離縁届 証人代行サービス(大石行政書士事務所HP)をご覧ください。

どう違う?「普通養子縁組」と「特別養子縁組」

養子縁組には、普通養子縁組特別養子縁組の2つがあります。

一般的には、単に養子縁組と言うと、普通養子縁組を指します。

両者の違いは次のとおりです。

  • 普通養子縁組

子と実親の親子関係を継続し、養親とも親子関係を結ぶ養子縁組です。養子と実親との親子関係が継続するので、実親が亡くなった場合に、養子は実親を相続できます。

  • 特別養子縁組

子と実親との親子関係を完全に消滅させ、養親とだけ親子関係が結ばれる養子縁組です。養子と実親との親子関係が消滅するので、養子は実親を相続できません。

 

特別養子縁組は実の親子関係を断絶するため、厳しい条件を満たした場合にのみ、家庭裁判所の審判によって行われます。詳しくは以下の記事でまとめています。

特別養子縁組が成立する要件と家庭裁判所手続き、離縁、相続との関係

養子縁組と相続の関係、戸籍確認の必要性

養子縁組をすると、養子と養親の間の相続関係はどうなるのか、ご説明していきます。

普通養子縁組と相続

養子は養親と血のつながりはありませんが、養子縁組により養親の嫡出子としての身分を取得します。

つまり、婚姻関係にある夫婦から生まれた子(嫡出子)と同等の身分となるため、次のようにされています。

養親が亡くなり相続が開始すると、養子は養親を相続する

さらに普通養子縁組では、養子と実親との親子関係が継続するので、養子は実親も相続します。

つまり、養子となった子は、養親も相続するし、実親も相続するということです。

特別養子縁組と相続

特別養子縁組では、養子と実親との親族関係が消滅するので、養子は実親を相続できません。養子は養親を相続することはできます。

普通養子縁組との違いに注意しましょう。

相続と戸籍の確認

養親が亡くなった場合を考えてみます。

相続手続きでは、被相続人(亡くなられた人)の出生から死亡までのすべての戸籍を収集して相続人の特定をします。

全員の相続人がそろっていないと、進めることができない相続手続きが出てくるためです。

養親の相続では、その配偶者や実子以外にも、養子も相続人となります。したがって、養親の戸籍から「養子縁組の事実(養子の存在)」を確認しなければなりません。

万が一にも、養子の存在を見落としてしまうと、相続人を見落とすことになってしまいます。

こうなると、後々の相続手続きが円滑に進みません。

戸籍の収集を専門家に頼らず、ご自分で行う場合には、養子縁組が戸籍にどう表記されるのかを把握しておく必要があるのです。
おすすめ 出生から死亡までの戸籍が必要?相続で戸籍が必要なわけ

養子縁組をすると戸籍にどう表記される?【記載例】

それでは、次の3つの場合について、戸籍にどう表記されるのかを見ていきましょう。

養子と養親のそれぞれの戸籍の見本を掲載しました。参考にしてみてください。

  • 単身者が養子となった場合
  • 夫婦で養子となった場合
  • 婚姻により氏を変更した者が養子となった場合

① 単身者が養親夫婦と養子縁組をした場合

単身で養子となる場合には、養子は養親夫婦の戸籍に入ります

その結果、養親夫婦の戸籍の身分事項欄には、「いつ、誰を養子とする縁組の届出をしたか」が記載されます。

そして、養子の情報が戸籍に追加されるのです。

養子の身分事項欄にも同様に、「いつ、誰と養子縁組をしたか」が記載されます。

それでは、以下の具体例で養子縁組をした場合の戸籍の表記を見てみましょう。

<養親となる夫婦の情報>

静岡太郎さんと浜子さんは夫婦である。

<養子縁組の情報>

静岡さん夫婦は、浜松一郎くんと平成12年5月5日に養子縁組をする届出をした。

戸籍の見本で確認しよう

それでは、上で示した例をもとに、戸籍の見本を確認してみましょう。

以下に示した戸籍は、平成6年の戸籍改製前(戸籍がコンピュータ管理される前)の様式です。見覚えはありますか?

(画像クリックで拡大表示します。)

上の例で、赤と青で強調した箇所が注目していただきたいところです。

太郎さん、浜子さんそれぞれの身分事項欄に「平成12年5月5日に養子縁組の届出をした」旨が記載されていますね。

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平成6年の戸籍改製で、戸籍がコンピュータ管理される前までの戸籍では、「一」は「壱」、「二」は「弐」、「三」は「参」、「十」は「拾」と記載されていました。ちょっと難しいですね。

戸籍に追加された一郎くんの身分事項欄にも、養子縁組をした旨の記載がありますね。

そして、一郎くんの実親の氏名と続柄、養親である養父、養母の氏名と続柄が記載されます。

続柄も、実親との関係では「二男」と記載されていますが、養親との関係では「養子」と記載されます。

こうして、戸籍を見ることで、養子と養親の関係が把握できるわけですね。

【参考】全部事項証明書における表記

平成6年にコンピュータ管理されるようになった戸籍(全部事項証明書といいます。)における記載例も見てみましょう。

この戸籍は一番新しい様式なので、みなさんご存じの方は多いのではないでしょうか。

(画像クリックで拡大表示します。)

上図で、赤字で強調した箇所が「養子縁組」に関する記載です。

2つの様式で養子縁組の表記をご紹介しました。ぜひ比較してみてください。

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養子の身分事項欄にて、「代諾」という言葉が出てきましたね。

養子となる者が15歳未満である場合には、その法定代理人(親権者など)が養子に代わって養子縁組の承諾をすることができるのです。これを代諾といいます。(民法797条1項)

参考 戸籍謄本と戸籍抄本の違いは?全部・個人事項証明書を解説

② 養親と養子がともに夫婦である場合

今度は、養親と養子がともに夫である場合についてです。

どういう意味かといいますと、上の例では養子が単身者でしたが、今度は「夫婦である男女」がそろって養子となり、養親夫婦と養子縁組をする、というパターンです。

養子縁組のイメージとしては、夫婦が1人の子を養子とする、という感じですが、夫婦を2人そろって養子に迎える、ということも可能なのです。

この場合、養子夫婦は養親の戸籍に入ることはありません

何故かといいますと、戸籍は「一の夫婦と氏を同じくする子」で構成される必要があるためです。

養子夫婦がもしも養親夫婦の戸籍に入ってしまうと、その戸籍には二組の夫婦が同籍していることになってしまいますので、これでは現行戸籍の編製基準に合いません。

では、どうなるのかと言いますと、

養子となる夫婦のために、養親と同じ氏の新戸籍が編製(作成)され、縁組前の養子夫婦の戸籍は除籍となる

という扱いになります。

つまり、養子縁組をしたことで、養子夫婦の氏は養親の氏に変わります。

養子の氏が養親の氏になることまでは、養子縁組の原則どおりです。

ですが、養子夫婦は養親夫婦の戸籍に入れないので、養親と同じ氏となった養子夫婦の新しい戸籍が編製されることになるわけです。

養親夫婦の戸籍には、身分事項欄に「いつ、誰を養子とする縁組の届出をしたか」が記載されます。

それでは、新しく編製された養子夫婦の戸籍の表記について、以下の例で見てみましょう。

<養親となる夫婦の情報>

・静岡太郎さんと浜子さんは夫婦である。

<養子となる夫婦の情報>

・田中甲男さんと文子さんは夫婦である。

<養子縁組の情報>

静岡さん夫婦は、田中さん夫婦を養子に迎えることにし、平成26年4月6日に養子縁組の届出をした。

(養親:静岡さん夫婦、 養子:田中さん夫婦)

戸籍の見本で確認しよう

それでは、上で示した例をもとに、戸籍の見本で確認してみましょう。

以下は、養子となった田中さん夫婦のために新しく作られた戸籍です。

(画像クリックで拡大表示します。)

例では、「平成26年4月6日」に養子縁組をしています。

本籍のすぐ左の欄(戸籍事項欄)をご覧ください。「平成弐拾六年四月六日編製」とありますね。

養子縁組が原因でこの戸籍が新しく編製(作成)されました、ということを表しています。

本籍欄の下の筆頭者氏名は、養親の氏である「静岡」に変わっていますね(縁組前は田中でした)。

そして、夫婦の身分事項欄には養子縁組をした旨の記載があります。

夫婦それぞれの身分事項欄に養父、養母の氏名が記載されています。

続柄ですが、夫の場合は「養子」、妻の場合は「養女」と記載されます。

③ 婚姻により氏を改めた者が養子となった場合

養子縁組をした場合、基本的に養子は養親の氏を名乗ることになります。これが原則です。

ただし、婚姻により氏(苗字)を改めた者が養子となる場合は、婚姻関係が解消されるまでは、例外として、養親の氏を名乗ることはありません

 

ちょっと難しいので、例で考えてみましょう。

たとえば、浜松花子が静岡太郎と結婚し、夫の氏を称することになったとします。

これにより「浜松花子 → 静岡花子」になりますね。

この後、静岡花子が浜北夫妻の養子となったとします。

養子縁組の原則に従えば、「静岡花子 → 浜北花子」になるわけですが、花子は婚姻で氏を改めた者に当たるので、養親の氏(浜北)を名乗ることはなく、静岡花子のままとなります。

氏(苗字)が変わらない理由

なぜ、このような扱いとなるのかご説明します。

上の例で、花子が養親の氏を名乗ることになると、「夫は静岡太郎、妻は浜北花子」となり、夫婦は同一の姓を称する(名乗る)という決まりに反してしまうためです。

夫婦は同じ氏でなければならないので、婚姻で氏を改めた花子は、養子縁組によっても、養親の氏を名乗ることはないのです。

戸籍の記載について

それでは、婚姻で氏を改めた花子が養子となった場合には、養子と養親の戸籍にはどう記載されるでしょうか。

氏は変わりませんが、花子の戸籍の身分事項欄には、養子縁組をした事実と養父母の氏名が記載されます。

そして、養親の戸籍にも、花子と養子縁組をした旨の記載がされます。

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このケースでの養子縁組では、養子は養親の戸籍に入ることはありませんし、養子のために新しい戸籍が編製されることもありません。それぞれの戸籍に「養子縁組」をした事実が記載されるだけです。

 

ちなみに、もしも養子となったのが、婚姻で氏を改めていない者(上の例なら、夫・静岡太郎)であった場合、原則どおり養親の氏を名乗ることになります。

そして、もう一方の養子縁組をしていない配偶者(上の例で花子)も同様に、その氏を名乗ることになります。夫婦の氏は同一でなければならないためです。

【参考】未成年者を養子とする場合は家庭裁判所の許可が必要

未成年者を養子とする縁組は原則として家庭裁判所の許可が必要です。(一部例外あり)

戸籍に関連してお話しておきますと、養子縁組の申立てでは、家庭裁判所に下記の戸籍を取得して提出する必要があります。

  • 申立人(養親となる者)の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 未成年者が15歳未満の場合,代諾者(法定代理人)の戸籍謄本(全部事項証明書)

まとめ

普通養子縁組をした場合の戸籍の表記について、いくつかご紹介しました。

相続手続きの際には、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集して、相続人を確定させます。

養子も立派な相続人です。確認漏れがないようにしなければなりませんので、ご注意ください。