特定遊興飲食店営業という営業をご存知ですか?

前回の記事までに取り上げた風俗営業と同様に、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風俗営業法)に規定されている営業形態です。

では、特定遊興飲食店営業とは一体何なのか、営業者はどんなことに注意すればいいのか(義務)、そして申請書類、手数料などについてお話したいと思います。

この記事でわかること!

この記事を最後までお読みいただくと、次のことが理解できます。

  • 特定遊興飲食店営業とはどんな営業か
  • 欠格事項、営業許容地域について
  • 営業所が満たすべき技術上の基準について
  • 営業者の遵守事項について
  • 客の迷惑行為防止措置と苦情への対応について
  • 営業者の禁止行為について
  • 申請について(提出書類・添付書類、手数料)

特定遊興飲食店営業とは?

特定遊興飲食店営業とは、飲食店営業と風俗営業を合わせたような内容といえます。

具体的には、次のとおり定義されます。

  • 遊興(ダンスを含む)を提供し、かつ、客に飲食をさせる
  • 照度10ルクス以上として営む
  • 深夜営業をする(午前0時以降も営業する)

遊興とは、「お店側の積極的な働きかけにより、不特定多数の客に遊びを興じさせる」こととされています。

なお、特定遊興飲食店営業は基本的に深夜営業を前提としていますが、各自治体によって時間制限が加えられることがあります。

たとえば、静岡県では、午前5時から午前6時までの時間は営業ができません。注意が必要な点です。

※特定遊興飲食店営業はそれぞれの自治体で詳細に規定が置かれています。当記事では便宜上、静岡県の条例や規則を参照しております。

欠格事項

風俗営業法4条1項には、風俗営業を行う上での欠格事項が定められています。

この欠格事項に該当してしまうと、営業の許可は下りませんので注意が必要です。

それでは、以下に欠格事項の主な場合を示します。

  • 成年被後見人もしくは被保佐人または破産者でいまだ復権していない者
  • 1年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられ、または公然わいせつ罪や淫行勧誘罪などの風俗営業法4条1項2号で列挙する罪を犯して1年未満の懲役もしくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過していない者
  • 集団的、常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者
  • アルコール、麻薬、大麻、あへんまたは覚せい剤の中毒者
  • 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
  • 法人の役員、法定代理人が上記の事項に該当するとき

上記で、成年被後見人とは重度の精神病などで物事を判断する能力を欠き、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者のことです。

被保佐人は物事を判断する能力が成年被後見人よりは残っているものの、著しく不十分であり、家庭裁判所での保佐開始の審判を受けた者をいいます。

破産者の復権とは、破産決定により制限された権利や資格の回復を図るための制度です。

営業許容地域

特定遊興飲食店営業では、営業所設置許容地域が自治体ごとに条例で規定されています。

静岡県の場合を例に、その主な地域を以下に示します。

  • 公安委員会規則で定める地域

→ 公安委員会規則の別表第7をご覧ください。

  • 児童福祉施設及び病院の敷地の周囲50メートルの区域の地域

上記は静岡県の場合を例としていますが、上記はその一部であります。

ご自身の営業所が許容地域に含まれるか不安な場合は、管轄の公安委員会にお問い合わせください。

営業所が満たすべき技術上の基準

特定遊興飲食店営業の営業所は、以下に示す基準を満たさなければなりません。

この基準を満たさないと、許可は下りませんのでご注意ください。

  • 客室の床面積は、一室の床面積を33平方メートル以上とすること。
  • 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
  • 善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
  • 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
  • 営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
  • 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。

ルクスとは、照明の明るさの程度を表す単位ですね。

上記のように、客室の床面積や照度の値が明確に決まっています。ご注意ください。

営業者の遵守事項

特定遊興飲食店を営む者は次に示す事項を守らなければなりません。

例えば静岡県の条例では主に次のように規定されています。

  • 営業所で卑わいな行為その他善良の風俗を害する行為をし、又はさせないこと。
  • 営業用施設に客を就寝させ、又は宿泊させないこと。
  • 営業中は営業所の出入口又は客室に鍵を掛け、又は掛けさせないこと。
  • 営業所で店舗型性風俗特殊営業若しくは店舗型電話異性紹介営業を営み、若しくは営ませ、又は営業所を無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業若しくは無店舗型電話異性紹介営業の用に供する施設として使用し、若しくは使用させないこと。
  • 営業所で客の求めない飲食物を提供し、又は提供させないこと。
  • 営業所で著しく客の射幸心(しゃこうしん)をそそるような行為をし、又はさせないこと。
  • 午後6時から午後10時前の時間において、18歳未満の者を客として立ち入らせるときは、保護者の同伴を求めること。

射幸心とは、「思いがけない利益や幸運を望む心」の意味です。

もしも上記に違反してしまうと、場合によっては営業許可の取り消し、業務停止となってしまうので、ご注意ください。

客の迷惑行為の防止

特定遊興飲食店営業は、深夜に営業を行うことが前提となっているため、以下に示す事項を守らなければなりません。

  • 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を表示した書面を営業所の見やすい場所に掲示し、又は当該書面を客に交付すること。
  • 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を客に対して口頭で説明し、又は音声により知らせること。
  • 泥酔した客に対して酒類を提供しないこと。
  • 営業所内及び営業所の周辺を定期的に巡視し、営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼす行為を行い、又は行うおそれのある客の有無を確認すること。
  • 上記に規定する客がいる場合には、当該客に対し、その行為を取りやめ、又はこれを行わないよう求めること。
  • 風俗営業者は、上記規定を守るために、従業員に対する教育を行い、又は営業所の管理者に当該教育を行わせなければならない。

苦情への対応

特定遊興飲食店営業は、発生した苦情についても適切に対応しなければなりません。

そのために、営業所には苦情処理に関する帳簿を備え付け、必要な事項を記載しなければなりません。

帳簿には、次に示す内容を記載します。

  • 苦情を申し出た者の氏名及び連絡先(氏名又は連絡先が明らかでない場合は、その旨)並びに苦情の内容
  • 原因究明の結果
  • 苦情に対する弁明の内容
  • 改善措置
  • 苦情処理を担当した者

なお、上記の帳簿は、最終の記載をした日から起算して3年間保存しなければなりません。

禁止行為

特定遊興飲食店営業を営む者は、次に規定された行為をすることはできませんので、ご注意ください。

  • 深夜営業において客引きをすること。
  • 深夜営業において客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
  • 営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること。
  • 午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(午後10時以後翌日の午前0時前の時間において保護者が同伴する18歳未満の者を客として立ち入らせる場合を除く。)。
  • 営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。

許可の申請

ここまで特定遊興飲食店営業についての決まりを見てきました。

ここからは申請についてご説明します。

特定遊興飲食店営業の許可の申請先は、営業所を管轄する警察署の生活安全課又は刑事生活安全課となります。(静岡県の場合)

営業の許可申請の流れは、風俗営業の許可申請を解説!欠格事項・必要書類・手数料は?でご説明したとおりです。

許可申請の前に、あらかじめ営業が可能な地域かどうかは確認するようにしましょう。

不明な場合は管轄の公安委員会や警察署に問い合わせましょう。

提出書類と添付書類

申請に必要な書類、添付書類についてご説明します。とはいっても、一般的な風俗営業の許可申請とほぼ同じです。

  1. 特定遊興飲食店営業許可申請書
  2. 営業の方法を記載した書類
  3. 営業所についての使用承諾書(賃貸借契約書)と、建物についての登記事項証明書
  4. 営業所の平面図と営業所周辺の略図
  5. 住民票(本籍記載のもの。日本国籍がない場合は国籍記載のあるもの)の写し、市区町村長発行の身分証明書、登記されていないことの証明書、誓約書
  6. 定款、法人登記事項証明書、役員についての5.の各書類(営業者が法人の場合)
  7. 選任する営業所の管理者についての5.の各書類、写真2枚(6 月以内撮影、無帽、正面、上三分身、無背景、縦3.0cm・横2.4cm、裏面に氏名及び撮影年月日を記入)

※上記において、静岡県警察HPを参照しております。

上記で、「登記されていないことの証明書」とは、申請者が成年被後見人、被保佐人として登記(登録)されていないことを証明するものであり、法務局に請求します。

誓約書」とは、風俗営業法4条1項の欠格事項に該当していない旨の誓約書になります。

許可申請の手数料

特定遊興飲食店営業の許可にかかる手数料は、それぞれ下記のようになっています。

申請の際に、手数料も一緒に支払います。

  • 新規の許可申請

24,000円

  • 2件目以降

15,400円(1件につき)

  • 3ヵ月以内に限る営業(臨時)

14,000円

※上記について静岡県警察HPを参照しております。