飲食店やスナック、パチンコ店、ゲームセンターなどを経営したいと思っても、いきなり始めることはできません。
国や地方自治体、公安委員会などの行政から、まず「許認可」を得る必要があるためです。
たとえば、飲食店を経営するためには、保健所を窓口として、経営の許可申請をしなければならないのです。
ここでは、よく耳にする許認可とは何か、なぜ事業を始めるのに許認可が必要なのか、許認可を得ずに事業を始めたらどうなってしまうのかについて、ご説明していきます。
この記事でわかること!
この記事を最後までお読みいただくと、次のことが理解できます。
- 特定の事業を始めるにあたり必要な許認可とは何か?
- なぜ許認可を得る必要があるのか
- 許認可が必要な事業において、許認可を無視した場合、どうなるか
そもそも許認可って何?
許認可とは、許可(きょか)と認可(にんか)を合わせた言葉です。
許可とは、法令によって一般的に禁止されていることを、特定の場合に解除することです。
つまり、普段は行政が私たちに対して、「やってはいけません!」と禁止していることを、ある条件を満たすことで、「やってもいいですよ!」と禁止が解除されることです。これが許可です。
皆さんに一番身近な許可とは、運転免許の許可だと思います。
運転免許は、自動車学校に通い、筆記試験、実技試験に合格できなければ、取得できませんよね。
試験に合格できれば、運転免許が取得できます。
つまり、危ないから法令によって禁止されていた自動車の運転が、試験合格という条件を達成したことで、禁止が解除されたということですね。
認可とは、私たちが個(こ)として行う、契約・合同行為などの法律行為を、行政が補充して、その法律上の効果を完成させることとされています。ちょっと難しいですね。
イメージとしては、「AさんとBさんが行う契約などの法律行為について、行政が手を加える(補充する)ことで、法律行為を完成させること」といった感じです。
行政が手を加えたことで、やっとその法律行為は効果を発揮することができるわけです。
認可の例としては、農地の権利移動の許可、河川占用権譲渡の承認、公共料金の認可などがあります。
売却などによる農地の権利移動には、農地法上の許可が必要とされており、これがない場合、農地の売買契約は効力を生じません。
また、電気料金や鉄道運賃の値上げについても、行政からの認可が必要です。
「農地の権利移動の許可」のように「許可」という文字が使われていますが、その性質は認可となります。
認可は法律行為を完成させる行為なので、認可が必要な法律行為について、認可を受けなかった場合、その法律行為は効力を生じないこととなります。
なぜ許認可が必要なの?
何かをしたいと思ったときに、国や地方自治体といった行政から、許認可を得なければならない場合があります。
なぜ、やりたいことを始めるために、わざわざ行政から許認可を得なければならないのでしょうか?疑問に思うかもしれません。
では、その理由を簡単にご説明します。
まず、そもそも人間は自己の職業を自由に決定し、行えることが憲法で保障されています。もちろん公共に迷惑をかけない範囲での話です。
しかし、自由だからといって、誰もが好き勝手に営業を始めてしまったら、大変なことになってしまいますよね。
例えば、記事冒頭の例のように、飲食店を経営する場合を考えてみてください。
行政からの許可なしに誰もが自由に飲食店を開業できてしまうとしたら、中には衛生面で問題ありの店が増えてしまう可能性だってあり得ます。
そうすると、困るのはそんな事情を知らずに飲食店を利用したお客さんたちですよね。
つまり、個人が自由に事業を行うことで発生するかもしれない危険を防止するために、行政が監視や調整を行う必要があるわけですね。
許認可の制度とは、このような目的で大変重要な制度なのです。
許認可の取得を忘れて事業を始めると大変なことに…
では、許認可を得なければならない業種であって、許認可を得ずに勝手に事業を始めてしまったら、どうなるのでしょうか。
当然ですが、隠し通せるということは絶対にありませんので、必ず見つかってしまいます。
そして、多くの場合には、懲役、罰金といった刑事罰に問われる可能性があります。
もしくは、行政上の罰である過料に処せられる可能性があります。
どんな業種にどんな許認可が必要となるかは、個別の法律で定められているのです。
開業したいと思ったら、まずはその業種は許認可が必要なのかどうかを調べることが大切です。
許認可が必要な業種をまとめています。こちらをご覧ください。
まとめ
許認可とは何か、なぜ必要なのか、無視して事業を始めるとどうなってしまうのかについてご説明してきました。
これから心機一転、事業を始めてみようと考えておられる方は、ぜひこの点を注意していただき、許認可を忘れずに取得するようにしましょう。