飲食店の営業許可申請をする上で、ご自身の営業施設が施設基準を満たすかどうかは大きな問題です。

それは、営業の種類によって、それぞれ施設基準(どんな設備を準備すればいいのか)が決まっているためです。

この施設基準を満たさない場合、申請は不許可となります。

飲食店の営業許可申請と手続きを解説!食品衛生責任者が必要?

今回は、「一般的な飲食店営業の許可」に関する施設基準についてお話したいと思います。

なお、施設基準は各都道府県の条例で決められており、大まかにはそれほど違いはありません。

当記事は静岡県の場合を例にご紹介します。

この記事でわかること!

この記事を最後までお読みいただくと、次のことが理解できます。

  • 一般飲食店形態の飲食店営業の許可に関する施設基準について

飲食店営業における施設基準

施設基準については、食品衛生法第51条に次のとおり規定されています。

第五十一条 都道府県は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業(食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第二条第五号に規定する食鳥処理の事業を除く。)であつて、政令で定めるものの施設につき、条例で、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。

上記で、「政令で定めるものの施設」について、基準を定めるとありますね。

「政令で定めるものの施設って何?」

となりますよね。

この施設について、食品衛生法施行令第35条に次のとおり規定されています。

(営業の指定)
第三十五条 法第五十一条の規定により都道府県が施設についての基準を定めるべき営業は、次のとおりとする。
一 飲食店営業(一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、レストラン、カフエー、バー、キヤバレーその他食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業をいい、次号に該当する営業を除く。)
(※条文はまだ続くが、以降は飲食店営業でないため、ここでは省略)

つまり、飲食店営業(上記の条文に規定された営業)の施設について、条例で、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準が定められている、ということです。

上記の規定を受けて、静岡県の食品衛生法施行条例第3条では次のとおり規定されています。

(営業施設の基準)
第3条 法第51条に規定する公衆衛生上の見地から必要な営業施設の基準(以下「営業施設基準」という。)は、別表第3のとおりとする。

上記で「法第51条」というのは、上で紹介した食品衛生法第51条のことです。

つまり、上記の条文から、別表第3を確認すれば、施設基準がわかる!ということです。

別表第3というのは、食品衛生法施行条例に記載されている内容です。

以降で、その内容をご紹介していきます。

飲食店営業の施設基準

飲食店営業というと、厳密には「旅館形態の飲食店営業」「仕出し屋又はそうざい屋形態の飲食店営業」「一般飲食店形態の飲食店営業」「露店形態の飲食店営業」など種々あります。

今回の記事で取り上げるのは、一般飲食店形態の飲食店営業の許可に関する施設基準になります。

飲食店営業をお考えの方は、申請前によくご覧ください。

なお、以降の施設基準について、営業許可が必要な業種(静岡県HP)を参照しております。

飲食店営業以外の営業についても詳細にまとめられています。

(1) 営業施設の構造

営業施設の構造に関する施設基準です。

営業施設(以下「施設」という。)は,不潔な場所に位置していないこと。
施設の周囲の地面は,排水が良く,かつ,清掃しやすい状態にあること。
施設は,食品,添加物等の取扱量に応じた大きさであること。
施設は,住居その他のものと区画されていること。
施設には,耐水性材料又は厚板で作られ,かつ,清掃しやすい構造の床があること。
施設には,別に規則で定める構造の内壁があること。
施設には,別に規則で定める構造の天井があること。
施設には,衛生上適当な構造の排水設備があること。
施設には,自然光又は照明により,別に規則で定める照度を得ることができる構造又は設備を有すること。
施設は,換気が十分できる構造であり,かつ,熱,蒸気等が著しく発生する場所には,換気装置があること。
施設の窓,出入口,排水口その他必要な場所には,ねずみ族及び昆虫の侵入を防ぐ設備があること。
施設には,作業衣等を備えた更衣設備があること。

青文字で強調した箇所については、以降の「業種別基準」をご覧ください。

(2) 食品,添加物等の取扱設備

食品、添加物等の取扱設備に関する施設基準です。

施設には,従事者の使用に便利な場所に従事者専用の手指消毒装置及び十分な大きさの流水式手洗設備があること。
施設には,食品,器具等を洗浄するのに便利な場所に流水式洗浄設備及び水切り設備があること。
施設には,食品又は添加物に直接接触する器具又は容器包装を殺菌することができる設備があること。
施設には,食品,添加物等の種類,取扱量及び取扱方法に応じて必要とされる種類,数及び大きさの器具があること。
固定した器具又は動かしにくい器具は,清掃又は洗浄がしやすい場所にあること。
器具の,食品又は添加物に直接接触する部分は,洗浄がしやすく,かつ,殺菌が可能な構造であること。
施設には,食品,添加物,器具又は容器包装を衛生的に保管できる設備があること。
施設には,見やすい箇所に温度計があること。

(3) 給水及び廃棄物処理の設備

給水及び廃棄物処理の設備に関する施設基準です。

施設には,水道水又は公的試験機関等が認めた水を豊富に供給できる設備があること。
公的試験機関等が認めた水の水源は,不潔な場所に位置せず,水源及び給水設備は,外部から汚染されない構造であること。
施設には,汚水及び臭気の漏れない構造で,かつ,十分な大きさの耐水性の廃棄物容器があること。
便所は,施設に影響を及ぼさない構造で,使用に便利な場所にあること。
便所には,ねずみ族及び昆虫の侵入を防ぐ設備並びに手指消毒装置を備えた流水式手洗設備があること。

業種別基準(一般飲食店形態の飲食店営業)

施設には,客席及び区画された調理室があり,調理室には,別に規則で定める設備があること。

青文字で強調した箇所にいう規則というのが、下記の内容となります。

(1) 調理室には,次の表の設備の欄に掲げる設備があること。

(↑クリックで拡大表示します)

(2) 衛生上支障がない場合は,調理室と客席との間の区画は,カウンター等による区分とすることができる。

(3) 調理室には,すき間がなく,かつ,清掃しやすい構造の内壁があり,内壁は,床面から少なくとも高さ1メートルまでは耐水性材料又は厚板で作られていること。

(4) 調理室には,すき間がなく,かつ,清掃しやすい構造の天井があること。

(5) 客席にあっては,床を省略することができる。

(6) 施設には,作業面における明るさが,調理室にあっては100ルクス(いわゆるキャバレー又はバーの形態のものにあっては,衛生上支障がない場合に限り,50ルクス)以上,食品保管施設等にあっては20ルクス以上になる設備があること。

(7) 更衣設備は,調理室の外にあること。

※営業内容により必要な営業許可は異なります。

それにより施設基準も異なりますので、ご自身の営業内容についてご不安な方は、事前に保健所へご確認すると良いかもしれません。

浜松市で営業をお考えの方は下記が保健所の連絡先となります。(浜松市以外の方は、営業される場所を管轄する保健所へ連絡してみましょう。)

  • 浜松市役所健康福祉部保健所 生活衛生課
    〒432-8550 浜松市中区鴨江二丁目11-2
    電話番号:053-453-6114
    ファクス番号:053-459-3561

または

  • 浜松市役所健康福祉部保健所 浜北支所
    〒434-8550 浜松市浜北区貴布祢3000
    電話番号:053-585-1398
    ファクス番号:053-585-3671

 

今回は、一般的な飲食店営業の許可に関する施設基準についてご説明させていただきました。

初めてご覧になった方からすると、

「こんなに細かく決められているのか!?」

と驚かれたかもしれません。

ですが、飲食店の経営ということからして、衛生上の面からいっても、とても大切な基準です。

飲食店の経営をお考えの方は、必ず上記の内容を理解した上で申請するようにしましょう。