亡くなられた方が自動車を所有していた場合、その自動車の相続手続きが必要となります。

つまり、自動車の所有者の名義変更をするということです。

相続した自動車を処分したいと思っても、まずは名義変更をしなければできませんので注意が必要です。

ここでは、自動車の名義変更の手続きについてお話します。

手続きの流れ(名義変更の完了まで)

相続による自動車の名義変更手続きは、次のような流れで進みます。

  1. 相続人の確定(被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を確認)
  2. 新所有者の確定(相続人全員で遺産分割協議)
  3. 遺産分割協議書の作成
  4. 必要書類の入手・記入
  5. 管轄の運輸支局または自動車検査登録事務所にて手続き

必要な書類を収集する前に、まずは自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所に問い合わせを行い、必要な手続きについて確認しましょう。

ここで、今後の手続きの詳細や、具体的な必要書類について説明を受けます。

なお、軽自動車の名義変更については、軽自動車検査協会が窓口となっています。申請手続きはそちらで行います。

被相続人(亡くなられた方)の相続が開始した場合、まずは相続人が誰かを調べなければなりませんね。配偶者と子だけ、と思っていたところ、実は認知した子がいたり、前妻との間に子がいたりする場合もあります。

相続人は全員揃わないと、遺産分割協議ができないので、あらかじめ被相続人の戸籍を確認し、相続人を全員特定する必要があるのです。

あとは、相続人全員で話し合い、誰が自動車を取得(相続)するかを決定するわけです。

自動車の名義変更における必要書類

相続人の一人が単独で自動車を相続する場合の申請を例に、必要書類を以下に示します。

なお、管轄の運輸支局または自動車検査登録事務所によって、また相続の状況などによっては、さらに以下に記載のない書類の提出を求められる場合も考えられます。必ず事前に管轄の運輸支局または自動車検査登録事務所にご確認ください。

書類 備考
申請書 OCRシート第1様式(窓口で入手可能)
自動車検査証(車検証) 車検の有効期間のあるもの
遺産分割協議書 相続人の全員が実印で押印。遺言書がある場合は不要
被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本または除籍謄本 死亡の事実が確認できるもの
相続人全員の戸籍謄本 被相続人との関係が確認できるもの
印鑑証明書、印鑑(実印) 自動車を相続する相続人について(印鑑証明書は発行後3ヵ月以内のもの)
委任状 代理人による申請を行う場合(本人が直接申請するときには不要)。申請者本人が実印を押印。
自動車保管場所証明書(車庫証明書) 使用の本拠の位置が変更になり、かつ自動車保管場所証明書適用地域の場合(発行後、概ね1ヶ月以内のもの)
手数料納付書 登録印紙(500円)を貼付したもの
自動車税申告書 税額については各都道府県税事務所にお問い合わせください
ナンバープレート交付手数料(約2000円) 名義変更に伴い管轄の運輸支局または検査登録事務所が変わる場合(自動車登録番号の変更を伴うとき)

被相続人が作成した遺言書があり、自動車の相続について記載されていた場合には、遺言書の原本を提出しましょう。遺言に従う場合には、遺産分割協議書の提出は不要です。

遺言書については、原本とコピーを一緒に提出することで、原本が返却されます。

遺産分割協議書の書式(フォーマット)は国土交通省HPより確認できます。

また、本人が忙しく申請の時間がないような場合は、代理人による申請も可能です。その場合、本人が実印を押した委任状を提出する必要があります。書式は国土交通省HPより確認できます。

軽自動車を相続により名義変更する

被相続人が所有していた軽自動車を相続する場合には、上記の場合と必要書類が異なります。

軽自動車の名義変更手続きは、軽自動車検査協会にて行います。

手続きをされる前に、必ず管轄の事務所・支所にお問い合わせの上、手続きの詳細を確認しましょう。

以下に必要書類を示します。

書類 備考
自動車検査証(車検証) 車検の有効期間のあるもの
新しい使用者の認印
戸籍謄本 被相続人が亡くなった事実、被相続人と新使用者との関係が確認できるもの
新しい使用者の住民票の写しまたは印鑑証明書 発行後3ヵ月以内でマイナンバーの記載がないもの
自動車検査証記入申請書 軽第1号様式または軽専用第1号様式(窓口で入手可能)
軽自動車税申告書 税額については各市区町村税事務所にお問い合わせください
ナンバープレート前後2枚と新しいナンバープレート代(約1900円) 使用の本拠の位置が変わり、管轄区域が変わる場合

 

自動車税、軽自動車税の申告書については、運輸支局、自動車検査登録事務所、軽自動車検査協会の事務所、支所等の窓口で入手可能です。

なお、自動車税については、自動車の種類、区分(総排気量など)、用途などにより異なります。税額については各都道府県または市区町村の税事務所にお問い合わせください。

また、(軽)自動車取得税については、相続による取得の場合は非課税(対象外)となります。

まとめ

相続により自動車を取得した場合の名義変更手続きは、一般的なものに比べ難しくなっています。

被相続人が本当に亡くなっているのか、相続人は本当に〇人なのか、申請者の単独利用を相続人は本当に納得しているのか、などを証明しなければならないためですね。

この証明があやふやなまま手続きを進めてしまうと、後々トラブルになりかねません。

基本的には、管轄の運輸支局や自動車検査登録事務所、軽自動車検査協会に問い合わせることで、必要な書類、手続きについては確認することができます。

それでも多忙により申請の時間がない場合や、書類の収集、記入が困難な場合には、行政書士などの専門家に依頼するのもありでしょう。

この記事で皆様がご自分で手続きをするお役に少しでも立てれば幸いです。