私が亡くなった後、子の配偶者は法定相続人となるでしょうか。
自分の相続で、子の配偶者はどんな立場になるか、遺産は相続するのか、解説します。
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子の配偶者は法定相続人か?【範囲図で確認】
あなたと、子の配偶者との関係性を図で確認してみましょう。まずは下図をご覧ください。
あなたが浜一郎(図の右上)だとします。
すると、子である浜男の配偶者は浜子です。つまり、浜一郎と浜子の相続関係を見ていきます。
上図において、浜一郎と浜子とは「姻族1親等」の関係であり、浜子は浜一郎にとって親族になります。
親族であれば、浜一郎にとって浜子は法定相続人だ、と言いたくなります。
ですが結論としては、子の配偶者は法定相続人ではありません。その理由は、両者は血縁関係にないからです。
血のつながった親子は1親等の関係であり、お互いに相続できます。ですが、血のつながりのない姻族の間では、例え親族であっても、お互いを相続することはできません。
上の図でいうなら、浜子は浜一郎を相続することはできないのです。
相続人と遺産の取得割合
相続では、誰が相続人になるか、遺産の取得割合はいくらか、とても重要な事項です。
詳しく知りたい方は、「法定相続人の範囲と相続順位・相続分を解説【雛形を無料贈呈!】」をご覧ください。
法定相続人の範囲図(書き込み可能)を無料でお渡ししております。
法定相続人ではない「子の配偶者」に財産を与える方法
子の配偶者は法定相続人ではないことがわかりました。
ですが、次のような理由から、子の配偶者にも財産の一部を遺したい場合はあります。
- 子の配偶者が子と共に自分の介護をしてくれた
- 子の配偶者が自分の事業を手伝ってくれた
- 子に先立たれ、子の配偶者の将来が不安だ
残念なことに、法定相続人ではない者は、相続で遺産を取得することはできません。
では、何か方法はないのか。結論として、遺言書を作成する方法があります。
遺言書に「子の配偶者に財産を与える(遺贈する)」旨を記しておけば、例え法定相続人ではなくても、財産を与えることが可能です。
遺言書の正しい書き方
遺言書の正しい書き方は「わかりやすい!正しい遺言書の書き方、加除訂正、封筒の例【見本あり】」をご覧ください。
子の配偶者に財産を与える文例
子の配偶者に財産を与える遺言の文例については、「 遺言書の文例:子の配偶者(息子の嫁等)に財産を遺す」をご覧ください。
子の配偶者に財産を相続させない方法
子の配偶者に財産を遺さない方法ですが、これは言うまでもありません。
子の配偶者は法定相続人ではないので、何もしなければ、財産を相続することはありません。
仮に遺言書を作るのであれば、子の配偶者と関係のない、別の相続人やお世話になった人などに財産を与える記載をすれば良いでしょう。
法定相続人でない「子の配偶者」も特別寄与料の請求はできる
法定相続人ではない子の配偶者は、そのままではあなたの遺産を相続することはできません。
ですが、相続では「特別の寄与」という制度があります。
被相続人(亡くなられた方)の親族で、被相続人に対して無償で療養看護などをしたことで、被相続人の財産の維持増加に大きな貢献をした者は、相続開始後、相続人に対して金銭の支払いを請求できるのです。
以下、民法1050条に規定されています。
(特別の寄与)
第千五十条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。(出典:e-gov-民法)
寄与料の請求は基本的に相続人との話し合いで行いますが、話がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることが可能です(特別の寄与に関する処分調停)。
調停では当事者からの事情を聴いたり、資料を提出したりして進められますが、特別の寄与が認められるハードルは高いと言えます。
請求が必ず通るわけではない、ということです。
ですので、子の配偶者にお世話になった等の理由から財産を遺したい場合には、遺言書を作成されるのが最善の手となります。
まとめ
以上、子の配偶者は法定相続人かどうか、子の配偶者に財産を遺したい場合の方法について解説してきました。
- 子の配偶者は法定相続人ではない
- 子の配偶者に財産を遺したいなら遺言書を作る