未成年の子にとって、親は親権者ですよね。

では、親権の具体的な「権利・義務」についてはご存知でしょうか。

ここでは、親権の内容、親権喪失の審判、親権停止の審判、財産管理権の喪失、未成年後見についてご説明していきます。

親権の内容「2つの権利」

親権には、以下の2つの内容(権利)が含まれます。

  • 身上監護権
  • 財産管理権

身上監護とは、未成年者の養育のことです。

財産管理とは文字通り、未成年者の財産を管理することですね。

つまり親権とは、未成年者を養育するとともに、未成年者の財産を代わりに管理する権利と言えます。

民法に次のとおり規定されています。

(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
(財産の管理及び代表)
第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

そして、未成年の子は、父母、または養親(養子縁組をしている場合)の親権に服する(従う)ことになるのです。

(親権者)
第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
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一般的に未成年者が大きな財産を持っていることは考えにくいですが、場合によっては相続を原因として多額の財産を有している可能性もあります。そんな場合には、親権者にしっかりと財産管理をしてもらう必要がありますね。

子の財産管理について、次のような規定もあります。知っておくと良いですね。

(財産の管理における注意義務)
第八百二十七条 親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。

親権喪失の審判

親権喪失の審判という制度があります。

これは、文字通り親権者からその親権を奪ってしまうものです。

具体的には、以下の要件を満たす場合に、家庭裁判所の審判によって行われます。

  • 父または母による虐待または悪意の遺棄がある
  • 親権の行使が著しく困難または不適当である
  • 子の利益を著しく害する

悪意の遺棄というのは、捨てて置き去りにされることを言います。

この審判の申立てができるのは、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官とされています。

(親権喪失の審判)
第八百三十四条 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

普段から、幼児虐待といった辛いニュースを耳にします。

こうした問題から子を守るために、こうした制度が存在しているのです。

親権停止の審判

親権停止の審判という制度もあります。

親権喪失の審判と同様に、家庭裁判所での審判によって行われるものです。

親権停止の審判がなされる要件は、次のとおりです。

  • 親権の行使が困難または不適当である
  • 子の利益を害する

親権喪失の審判の要件と見比べていただくとわかりますが、「著しい」というキーワードが親権停止の審判の要件からは抜けていますね。

親権喪失だと、親から親権を完全に奪ってしまうので、その前段階の制度であると思ってください。

つまり、親権喪失まではいかずとも、まずは親権の停止で様子見をする、というイメージです。

(親権停止の審判)
第八百三十四条の二 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
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幼児虐待の事件が頻発するようになり、制度化されました。

財産管理権の喪失

既にご説明しましたとおり、親権には以下の2つが含まれます。

  • 身上監護権
  • 財産管理権

上記の『財産管理権』ですが、親権者からこれを奪う制度も存在します。

(管理権喪失の審判)
第八百三十五条 父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。

つまり、子の財産を使い込んでしまうような浪費家な親から、財産管理権をはく奪するわけです。

この場合、財産管理権を喪失した親は、子の身上監護権のみ有することになります。

審判の申立てができるのは、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官とされています。

親権の辞任

ここまで親権者から親権をはく奪する制度についてご紹介してきました。

ですが、親権者が自ら親権を辞任する制度もあります。

(親権又は管理権の辞任及び回復)
第八百三十七条 親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
2 前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。

いつでも簡単に辞められるわけではありません。

やむを得ない事由が必要であり、さらに家庭裁判所の許可を得る必要があります。

子の親権を辞任するという重大な行為なので、当然といえますね。

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親権のうち、「財産管理権」のみの辞任はできますが、「身上監護権」のみの辞任はできません。

親権者の不在と『未成年後見』の開始

親権者から親権や財産管理権を奪う制度についてご説明してきました。

では、未成年の子の立場になった場合、親権者や財産管理をしてくれる人がいなくなったら、どうなってしまうのでしょうか。

この場合には、未成年後見が開始することになります。

第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
二 後見開始の審判があったとき。

未成年後見としては、次の2種類が存在します。

  • 身上監護、財産管理を行う未成年後見人
  • 財産管理のみ行う未成年後見人

身上監護のみを行う未成年後見人は存在しません。

これは、親権のうち、身上監護権のみ喪失させることができないためです。

養親との「離縁」「死別」と親権の回復

養子縁組がされると、親権は実親から養親へと移ります。

それでは、養子が養親と離縁した場合、または死別した場合には、親権者は誰になるのでしょうか。実親に戻るのでしょうか。

養子が養親と「離縁」した場合には、実親の親権が回復します。

つまり、再び実親が親権者となるわけです。

続いて、養子が養親と「死別」した場合ですが、実親の親権は回復せず、未成年後見が開始することになります。

まとめ

親権の内容、親から親権をはく奪する制度についてご紹介しました。

未成年の子は親の養育が必要であり、自身の財産を管理する能力も未熟なので、親権者が責任をもって行う必要があるのですね。

ですが、親権者の監護、財産管理が不適当である場合には、親権喪失、親権停止、財産管理権の喪失といった制度が適用されるのです。