扶養義務という言葉をご存じでしょうか。

扶養なので、「家族の面倒を見ること?」という理解の方が多いかもしれませんね。

ここでは、扶養義務とはいったいどんな義務なのか、扶養義務がある親族の範囲、そのほか父が子を認知した場合、親が離婚した場合などを例としてご紹介します。

親族の扶養義務とその範囲

扶養という言葉の意味を調べてみると、「自力で生活できない者の面倒をみ、養うこと。」のように出てきます。

つまり、扶養義務があるということは、文字どおり、扶養料を支払わなければならないということを意味します。

それでは、扶養義務の範囲はどこまでなのでしょうか。民法に次のように規定されています。

(扶養義務者)
第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

上記のとおり、法律上では、直系血族と兄弟姉妹の間では、お互いに扶養義務があるとされています。

簡単にいえば、「それらの誰かが路頭に迷って困っていたら、助けなければならない」ということです。

ここで、上記の条文に配偶者が含まれていませんが、配偶者にも扶養義務はあります。(民法752条)

(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

父親の認知した子に対する扶養義務

父親が子を認知した場合、これにより法律上の親子関係が生じ、父親には子に対する扶養義務が生じます。

その結果、父親は子の養育費を負担する義務が生じます。

それでは、子の出生後、何年か経過した後に父親が子を認知した場合、出生時から認知した時までに要した子の養育費は、請求できるのでしょうか。

結論から言えば、父親には子の出生時からの養育費をさかのぼって支払う義務があります。

なぜ認知した時からではなく、出生にさかのぼって支払う必要があるのでしょうか。

それは、認知について、民法に次のように規定されているためです。

(認知の効力)
第七百八十四条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

認知の効力が子の出生にさかのぼるということは、父親と子の親子関係は、出生時から生じていたということになります。

そのため、扶養義務により、父親は子の出生時からの養育費を支払う義務があるわけです。

ということで、子の母親は、その分の養育費を子の父親に請求できます。

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子の出生から認知されるまでの養育費について、どれだけ費用がかかったのかを証拠として残しておくと良いですね。

離婚した夫婦の子に対する扶養義務

夫婦が離婚した場合、子がいれば、夫婦のどちらか一方が親権者となります。

母親が親権者になれば、父親は親権者ではありません。

それでは、母親が親権者となった場合、親権者でない父親の子に対する扶養義務はどうなるのでしょうか。

結論として、父親はそれまで通り子の扶養義務を負います。

親権者でなくなったとしても、父親と子の親子関係が消滅するわけではありません。

これまで通り、父親と子は直系血族なのですから、父親は子に対して扶養義務を負うのです。

生活保護と扶養義務

生活保護を申請する場合の審査において、申請者に民法877条(扶養義務の規定)に該当する親族がいるかどうかが、まず問題となります。

つまり、申請者を扶養する能力がある親族がいるのであれば、その者が扶養義務に基づき、扶養することになるためです。

申請者に、扶養することができる親族が一人もいない場合に、初めて国は生活保護を認めるのです。

生活保護法第4条2項

民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

まとめ

扶養義務の範囲と、認知、離婚、生活保護との関連をご紹介してきました。

親族の範囲において、どこまで扶養義務があるのかについては知っておくべきでしょう。

また、子を認知する場合には、同時に子の扶養義務が生じることも注意しましょう。