離婚届の証人がいなくて困ってます。勝手に第三者の名前を代筆したら、どうなりますか?
婚姻届・離婚届の証人を勝手に代筆したらどうなるか、罪について解説していきます。
執筆者紹介
行政書士です。数年前まで、離婚届、婚姻届の証人代行を引き受けていました。(現在は、価格破壊を起こしているので、撤退しました。)業界知識は豊富にあります!
婚姻届・離婚届の証人を勝手に代筆した!バレる?罪になる?
婚姻届や離婚届の証人を、他人の名前で勝手に代筆して、印鑑まで押してしまったらどうなるか?と考える方がいるようです。
ここは断言しますが、絶対に止めてください。刑法上の罪に問われる危険があります。
例えばですが、婚姻届、離婚届の証人の署名を無断で(他人の名前で)代筆して役所に提出した場合、私文書偽造(刑法159条1項)や、偽造私文書行使罪(刑法161条1項)に問われる恐れがあります。
以下に条文を引用します。
(私文書偽造等)
第百五十九条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。(偽造私文書等行使)
第百六十一条 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。(出典:e-gov-刑法)
こんな罪が存在するのですね。ちょっと怖いです。
犯罪に手をそめるくらいなら、最初から証人代行サービスをご利用ください。その方が早く安全に手続きが終わります。
そもそも、何人の証人が必要か、ご存知でしょうか?
婚姻届・離婚届には何人の証人が必要?【代筆は困難】
婚姻届、離婚届が有効に受理されるには、成人の証人が2人必要です。証人2人の署名・押印が届書にないと、届出は受理されません。
民法に次のとおり規定されています。
(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。(婚姻の規定の準用)
第七百六十四条 第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。(出典:e-gov-民法)
当然ですが、役所では証人の筆跡から住所、本籍までしっかり確認します。
証人の代筆は罪に問われる危険がある行為です。さらに証人は2人も必要なのです。代筆の危険性は十分理解いただけると思います。
婚姻届・離婚届の証人は誰がなれる?【家族・友人だけでない】
婚姻届、離婚届の証人は誰になってもらえるのでしょうか。家族や友人だけだと、本当にいなくて困っています。
その点は大丈夫です。家族や友人でなくとも、証人にはなれます。
婚姻届、離婚届の証人は成人であれば誰でもなれます。特別な資格は必要ありませんし、親族である必要もありません。
一般的には次に挙げるような方々が考えられます。
- 身内
- 知人
- 専門家(法律家)
親族や友人でなくても大丈夫なら、証人探しに困ることもないです。
行政書士である私自身も、数多くの証人代行をお受けしてきました。
婚姻届・離婚届の証人になる責任・リスク
証人になると聞くと、嫌がる方が少なからずいらっしゃいます。借金などの保証人と同様に考えるためでしょう。
ですが、婚姻届や離婚届の証人とは特別なリスクや責任がつきまとうわけではありません。
婚姻届、離婚届の証人は、ただ結婚や離婚の事実を確認した旨を証明する者といえます。
そうは言っても、やはり証人として名前(住所、本籍も)を貸すことに嫌悪感を覚える方はいらっしゃいます。
友達に証人として署名捺印を頼んだら、嫌なムードになってしまいました。
やはり、自分の住所氏名に本籍まで記載して押印するので、嫌がる方は多いです。
婚姻届・離婚届の証人がいない ⇒ 証人代行サービスが安全
婚姻届、離婚届の証人になることに特別な責任やリスクはありません。ですがそれでも証人として名前を貸すことに良い気がしないのが実情かと思います。
そうした理由から、婚姻届、とくに離婚届の証人がいない、見つからない、、という困った事態に陥ることがあります。
嫌がる人に無理やりお願いするのは、後々の人間関係にも影響するので、あまりおすすめできません。
それならば最初から「婚姻届・離婚届の証人代行サービス」を利用することが一番です。
証人代行サービスを利用するメリット
婚姻届、離婚届の証人代行サービスを利用するメリットを以下にご紹介します。
- 証人を探す手間がなくなる
- 親や親戚、知人に迷惑をかけずにすむ
- 守秘義務ある専門家に依頼することで情報漏洩がない
一番安心なのは、守秘義務のある法律の専門家がお受けするので、情報漏洩がないことです。そこが親戚や知人にお願いしたケースと異なります。
当然誰かに迷惑をかけることもありませんし、恩を感じ続けることもありません。
証人代行サービスならどこも安全ですか?
実はそうでもありません。中には法律家ではない素性の知れない営利業者も存在しており、ご依頼は慎重になさる必要があります。
婚姻届・離婚届の証人を親戚や知人に頼むデメリット
反対に、婚姻届、離婚届の証人を親戚や知人にお願いすることのデメリットについてお話ししておきます。
- 親戚や知人に世話になり、頭が下がる思いをしている
- 離婚した事実を知人に知られて拡散された
- 証人探しに時間がかかり手続きが滞った
親戚や知人に証人をお願いすると、上記のようなデメリットが考えられます。
特別な責任はないとはいえ、証人になってもらうことで大きな顔をされてしまう、というお話も聞いたことがあります。
意外と多い!?証人を周りに頼めないケース【夫婦の事情】
どのような結婚、離婚のケースで、証人代行を選ぶ夫婦が多いですか?
婚姻届、離婚届の別に、証人代行を選ばれる代表的なケースをご紹介します。
婚姻届で証人代行サービスを利用されるケース
婚姻届は祝福されるべき届出ですが、次のようなケースで証人代行を選ばれる方が多いです。
- 夫と妻の年齢が大きく離れている
- 一方が外国人の結婚
- どちらも再婚のケース
- 復縁のケース
- 一定の知名度がある方の婚姻である
どんなケースであれ、結婚は祝福されるべき行為です。
とはいっても、夫婦の中には周りに遠慮をしてしまい、代行サービスに依頼する方も多くいらっしゃいます。
離婚届で証人代行サービスを利用されるケース
離婚届はその性質上、周りに証人を頼みづらいイメージをお持ちの方は非常に多いです。
他にも、つぎの理由から代行サービスを選ばれる方が多いです。
- 結婚から日が浅い離婚(結婚から1年経っていないなど)
- 夫婦の一方が外国人である
- かなりの熟年離婚である
- 一定の知名度がある方の離婚である
上記のようなケースで、離婚届の証人代行サービスを利用される方が多いです。
まとめ:証人探しで困っても代筆は危険。バレる怖さ、罪の怖さを意識しよう
この記事をお読みになったことで、婚姻届や離婚届の証人を勝手に代筆することの怖さをご理解されたと思います。
そうはいっても、周りに頼める人がいなく本当に困ってしまう方も大勢いらっしゃいます。証人を頼んで険悪なムードになることもあるようです。
法を犯すリスク、関係が壊れるリスクを考えると、最初から法律家の「婚姻届・離婚届の証人代行サービス」をご利用されるのが賢明なご判断かと存じます。