離婚には協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4種類があります。
ここでは、それぞれの仕組みと、行動を起こす前に必ず知っておくべき事項についてご説明していきます。
知っトク結婚・離婚と親族関係の知っトク情報をまとめました!
あとあとお困りにならないよう、ぜひ知っておいていただきたい結婚・離婚、親族に関する記事まとめです。
離婚の種類
離婚とは、夫婦の双方が、その婚姻関係を解消することをいいます。離婚には、次の4つの種類が存在します。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 審判離婚
- 裁判離婚
協議離婚以外は、裁判所の力を借りた離婚となります。
それぞれについて、ご説明していきます。
協議離婚
夫婦の合意のもと、行われる離婚を協議離婚といいます。この場合の「合意」とは、お互いに「離婚届を提出する意思の合致」を意味しています。
民法に次のとおり規定されています。
(協議上の離婚)
第七百六十三条 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。(出典:e-gov-民法)
夫婦で話し合いをして、お互いが条件を出し合い、合意に至り、円満に解決するのが協議離婚です。
協議では、未成年の子がいる場合には親権者を決定したり、子の養育費や財産分与などの話し合いを行っていきます。
一般的には、まずこの協議離婚を試みますが、それで解決できないと、調停、審判へと進むことになります。
調停離婚
夫婦での協議がととのわない場合には、家庭裁判所による調停へと進みます。調停では、調停委員という第三者を間に入れ、再び話し合いが行われます。
この調停で離婚が成立すれば、調停離婚となりますが、調停がととのわなかった場合には、審判へと進むことになります。
家事審判法
第21条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。(以下略)(出典:家事審判法)
離婚調停の具体的な手続きは、家庭裁判所HPの夫婦関係調整調停(離婚)にてご覧いただけます。
審判離婚
離婚調停がととのわない場合には、家庭裁判所が調停委員の意見を聞き、諸事情を考慮した上で離婚が相当と認めるときには、職権で離婚の審判を行います。
つまり、審判の場合の最終決定者は、裁判所ということになります。
調停のときは、あくまで夫婦が合意に達するかどうかでした。
この審判は、当事者である夫婦の申立ての趣旨に反しない限度で行われます。これにより成立した離婚を審判離婚といいます。
家事審判法
第24条 家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衝平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。(以下略)(出典:家事審判法)
ただし、この審判の決定があってから2週間以内に当事者から家庭裁判所に対して不服申し立てがあった場合には、審判の効力は失われます。
この不服申し立てを「即時抗告」といいます。注意したいのが、即時抗告の期間制限です。
もしも審判決定から2週間を経過してしまうと、審判の決定は法的拘束力を持つようになります。
つまり、決定に従わない場合には、強制執行をされる危険もあるためご注意ください。
家事審判法
第25条 (中略)審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、家庭裁判所に対し異議の申立をすることができる。その期間は、これを2週間とする。
2 前項の期間内に異議の申立があつたときは、同項の審判は、その効力を失う。
3 第1項の期間内に異議の申立がないときは、同項の審判は、確定判決と同一の効力を有する。(出典:家事審判法)
即時抗告がされると、再審理を行うのは高等裁判所となります。ただし、即時抗告の抗告状は原裁判所(審判をした家庭裁判所)に提出する必要があります。
※ 即時抗告の手続きの詳細は、裁判所HPにてご確認いただけます。
高等裁判所にて、即時抗告の理由が妥当であると判断された場合には、審判に代わる裁判が行われることになります。
しかし、必ずしも即時抗告の理由が妥当であると認められるわけではありません。
裁判離婚
以下に該当するような離婚原因がある場合には、夫婦の一方から離婚の訴えを提起することができます。(民法770条1項)
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
配偶者の不貞行為とは、肉体関係を伴う浮気(不倫)のことです。
配偶者から悪意で遺棄されるというのは、積極的な意思で、夫婦の共同生活を行わないことをいいます。
その他婚姻を継続し難い重大な事由というのは、例えば次のようなものが判例上認められていめます。
- 夫婦の性格の不一致
- 夫婦の一方と他方親族との不和
- アルツハイマーなどの難病
- 過度な宗教活動
ただし、上記にあげたような離婚原因がある場合であっても、「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき」には、裁判所は離婚の請求を棄却することができるとされています。(民法770条2項)
まとめ
離婚の種類には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚があることをご紹介しました。今となっては、離婚は決して珍しいものではありません。したがいまして、離婚についてもある程度の知識を持っておく必要があるでしょう。
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