農地を相続させる場合の、遺言書の文例が知りたいです。
今回は、農地を相続させる遺言書の文例と、農業委員会の許可についてご説明します。
と、その前に、、
遺言書の作成にはルールがありますが、ご存知でしょうか。もしご存知なければ、以下の記事でくわしく解説しています。ぜひお読みください。
農地(田、畑)を相続させる遺言書の文例
では実際に文例を見てみましょう。とっても簡単なので、お手本にどうぞ!
遺言書の文例を以下に記載します。
遺言書
遺言者 山田太郎は、次の通り遺言する。
第1条
遺言者は、下記の土地を長男山田五郎(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
所在: 浜松市〇区〇〇町
地番: 〇〇番〇〇
地目: 畑
地積: 〇〇〇平方メートル
平成〇年〇月〇日
静岡県浜松市〇区〇〇町××
遺言者 山田太郎 ㊞
農地(田や畑)を相続させる場合には、上記のとおり、不動産の所在、地番、地目、地積を遺言書に記載します。登記事項証明書のとおりに記載すれば問題ありません。
農地と言っても、一般的な不動産の相続と書き方は同じです。
農地の「相続と遺贈」で農業委員会の許可は必要か?
一般的に農地の所有権等の移転には農業委員会の許可が必要となります(農地法3条)。ですが、相続の場合に限っては、農業委員会の許可は必要ありません。
ただし、相続人は相続した農地について、農業委員会に届出を行う必要があります(農地法3条の3)。
農地の相続についてはわかりました。では、遺言で遺贈する場合はどうなりますか?
上で示した見本は「~を相続させる」なので、農地を相続人に対して相続させるケースですね。では、遺贈するケースについてお話します。
続いて、農地を遺言書で遺贈する場合を見てみましょう。遺贈とは、遺言で自己の財産を譲る行為をいいます。
遺贈はさらに包括遺贈、特定遺贈の2つに分かれます。
包括遺贈とは「全財産をAに遺贈する」というように、具体的に財産を特定せず包括的に行う遺贈です。
特定遺贈とは「甲土地をAに遺贈する」というように、財産を具体的に特定して行う遺贈です。
農地を遺贈するのに農業委員会の許可が必要か必要でないかは、包括遺贈、特定遺贈で異なります。
さらに特定遺贈の中でも、遺贈の相手が相続人かそうでないかで分かれます。
具体的には以下のとおりです。
- 包括遺贈の場合
農業委員会の許可は不要
- 特定遺贈の場合
遺贈の相手が相続人の場合は許可は不要
遺贈の相手が相続人以外の場合は許可が必要
つまりは、包括遺贈なら遺贈の相手が誰であろうと、農業委員会への許可は不要であり、特定遺贈の場合には相手が相続人か相続人以外かで対応がわかれる、ということです。
とはいえ、遺言では相続人に対しては「相続させる」を使い、「遺贈する」は使いません。遺贈は相続人以外の第三者にするのが一般的です。
いずれにしても、農地の相続人、遺贈を受けた者(受遺者)は、農業委員会への届出が必要です。ご注意ください。
遺言書の文例を豊富にご紹介します
この記事でご紹介した他にも、以下のとおり豊富な文例をご用意しております。ぜひご一緒にご覧くださいませ。
※記事へのリンクはこの下にございます。
- 妻に全財産を相続させる(子供のいない夫婦)
- 妻に全財産を相続させる(子供のいる夫婦)
- 相続権のない内縁の妻(夫)に財産を遺す
- 再婚相手の連れ子に財産を遺す
- 子がいるが父母にも財産を遺したい
- 息子の嫁(または娘の婿)に財産を遺す
- 甥、姪に財産を遺す
- 財産を自治体や法人、団体などへ寄付する
- 非嫡出子(婚外子)を認知して財産を相続させる
- 家族の世話を条件として遺産を与える
- ペットの世話を条件として遺産を与える
- 土地、建物及び建物内の全ての財産(家財)を相続させる
- 区分所有建物(分譲マンション)を相続させる
- 借地権を相続させる、または遺贈する
- 農地を相続させる(農業委員会の許可も)
- 預貯金(預金債権、貯金債権)を相続させる
- 株式、投資信託、国債などの有価証券を相続させる
- 自動車を相続させる
- 絵画、書画、骨董品などを相続させる
- 宝石や貴金属などの高価な物品を換金して相続させる
- 子供の相続分に差がある場合の対処
- 借金などの負債を相続させる割合を指定する
- 祭祀主宰者を指定する
- 遺産を与えたくない推定相続人を廃除する
- 予備的遺言を書く(相続人や受遺者の死亡に備える)
- 遺言執行者を指定する
- 未成年後見人、未成年後見監督人を指定する
- 生命保険金の受取人を変更する
上記文例の一覧は、下記の記事にてまとめています。
文例集【遺言書の文例集】ご遺族で争わず、無効にしない書き方・表現リスト要チェック! 相続、遺言の基礎知識まとめ(カテゴリーごとに解説します)
相続、遺言について深く学ばれたい方はぜひご確認ください。