このページでは、主に相続・遺言で登場する難しい法律用語について、その意味を簡単に説明していきます。

その全てを網羅できているわけではありませんが、重要ポイントはある程度カバーしているかと思います。ぜひ参考にしてみてください。

法律用語の一覧と意味【主に相続・遺言】

・あ~お 意味
遺贈(いぞう) 遺言により、遺言者の財産を無償で譲る行為です。遺贈の相手は相続人でも、相続人でない第三者でも構いません。
遺産分割(いさんぶんかつ) 被相続人の遺産(相続財産)を、相続人へ分配していくことです。主な遺産分割の方法として、現物分割、換価分割、代償分割があります。
遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ) 裁判外で、相続人同士で遺産の分割方法を話し合うことです。協議がまとまった際は、遺産分割協議書を作成し、相続人各自で署名・押印し、保管します。
遺留分(いりゅうぶん) 相続人が、最低限得ることができる遺産の取り分のことです。遺留分が保証されているのは、被相続人の配偶者、第一順位の相続人(直系卑属)、第二順位の相続人(直系尊属)までであり、第三順位の兄弟姉妹に遺留分はありません。
遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう) 被相続人から生前贈与を受けた受贈者や、遺言で遺贈を受けた受遺者に対して、自己の遺留分を侵害された相続人が、遺留分の限度で財産の返還を請求することです。
・か~こ 意味
果実(かじつ) 法律上の「果実」とは、物から生じる収益のこと。果実には、天然果実と法定果実が存在します。天然果実とは、例えばリンゴ畑から生じたリンゴです。法定果実とは、例えば家賃・地代です。
家庭裁判所(かていさいばんしょ) 家庭事件の審判・調停や、少年保護事件の審判などを行う下級裁判所です。
官報公告(かんぽうこうこく) 官報とは、「政府が一般国民に知らせる事項を編集して、毎日刊行する国家の公告文書」です。公告とは一般公衆に告知することです。
共同相続人(きょうどうそうぞくにん) 相続が開始すると、被相続人の財産は相続人間での共有となりますが、この財産を共有する人々を指して、共同相続人といいます。
共同遺言(きょうどうゆいごん) 複数の者が、同一の証書(遺言書)に共同で遺言を書き、署名・捺印をすることです。共同遺言は民法で禁止されています。
寄与分(きよぶん) 相続人間の公平を図るために、相続分を一部修正する制度です。たとえば、「ほぼ無償で父の介護をした」など、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人に認められる、相続財産の取り分のことです。
限定承認(げんていしょうにん) 相続によって得たプラスの財産の限度においてのみ、被相続人の債務及び遺贈を弁済する制度です。弁済した結果、まだ負債(マイナス財産)が残っても、残額は弁済する必要はなく、プラス財産が残れば取得できます。
公証人(こうしょうにん) 原則として、判事や検事などを長く務めた法律実務の経験豊かな者で、公募に応じた者の中から、法務大臣が任命することになっています。
・さ~そ 意味
債権者(さいけんしゃ) 債権とは、特定の他人に対して一定の行為をすることを請求する権利です。債権を有する者が債権者です。例えば、お金を貸した人が債権者、返す側が債務者です。
財産目録(ざいさんもくろく) 被相続人がどのような財産をどれだけ持っていたかの目録(リスト)です。限定承認をする場合などに必要となってくる書類です。
祭祀財産(さいしざいさん) 位牌や仏壇、墓石などのことです。
熟慮期間(じゅくりょきかん) 相続人は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」に相続の単純承認や限定承認、放棄をしなければなりません。この3か月間を熟慮期間といいます。
審判(しんぱん) 家庭に関する紛争のうち、家庭裁判所の審判手続で取り扱う一定の事項について、裁判官が、当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官の行った調査の結果等種々の資料に基づいて判断を決定する手続です。
推定相続人(すいていそうぞくにん) もし現状のままで相続が開始した場合に、相続権があるであろう人のことをいいます。
数次相続(すうじそうぞく) 被相続人の遺産相続が開始した後に、遺産分割協議や相続登記といった手続きがされる前に、さらに相続人の一人が死亡し、次の遺産相続が開始されることをいいます。
生前贈与(せいぜんぞうよ) 被相続人が生前に、財産を贈与することです。
成年被後見人(せいねんひこうけんにん) 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所から後見開始の審判をされた人のことです。
相続(そうぞく) 被相続人の財産上の一切の権利義務が、被相続人の死亡と同時に相続人へと承継されることです。
相続欠格(そうぞくけっかく) 相続人から相続権をはく奪する制度です。例えば被相続人の遺言を偽造した場合などに欠格となります。
相続財産(そうぞくざいさん) 相続によって相続人に引き継がれる、被相続人の権利義務のことです。遺産ともいいます。
相続財産管理人(そうぞくざいさんかんりにん) 家庭裁判所から選任され、相続人のあることが明らかでない場合に、相続財産の管理を行う者のことです。
相続人(そうぞくにん) 被相続人の財産(遺産)を承継する人のことです。配偶者は必ず相続人となり、他は第一順位の相続人が子や孫(直系卑属)、第二順位が父母や祖父母(直系尊属)、第三順位が兄弟姉妹と続きます。
相続廃除(そうぞくはいじょ) 相続人から相続権をはく奪する制度です。遺留分を有する推定相続人から、被相続人に対して虐待や重大な侮辱があった場合に、家庭裁判所に請求することで行います。
相続分(そうぞくぶん) 相続人間における相続財産(遺産)の分配の割合のことです。民法で決められた法定相続人と、被相続人が遺言で指定する指定相続分があります。遺言の指定があれば、それが優先します。
相続放棄(そうぞくほうき) 被相続人の相続財産の一切を承継しない(取得しない)意思表示です。一般的には、資産より負債の方が多い場合になされます。
・た~と 意味
代襲相続(だいしゅうそうぞく) 被相続人の相続人がすでに亡くなっているなど、相続人がいない場合に、その相続人の子が代わりに相続することをいいます。(この場合、被相続人から見た孫が代襲相続している。)
単純承認(たんじゅんしょうにん) 負債などマイナスの財産もすべて含めて、承継することです。
直系尊属(ちょっけいそんぞく) 父母、祖父母など自分より前の世代であり、直通する系統の親族のことです。
直系卑属(ちょっけいひぞく) 子や孫など、自分より後の世代であり、直通する系統の親族のことです。
調停(ちょうてい) 裁判のように勝ち負けを決めるのではなく,話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。裁判所で行われます。
動産(どうさん) 不動産(建物、土地など)以外のすべての財産をいいます。
同時死亡の推定(どうじしぼうのすいてい) 複数人が同時に死亡し、死亡の先後がはっきりしない場合は、「同時死亡の推定」という推定がされます。これにより、お互いがお互いを相続しなくなります。
特別縁故者(とくべつえんこしゃ) 被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者のことをいいます。
特別受益者(とくべつじゅえきしゃ) 被相続人(故人)から遺贈を受けたり、被相続人の生前に、婚姻や住宅資金など生計維持のために贈与を受けた相続人のことをいいます。
特別方式の遺言(とくべつほうしきのゆいごん) 特別な状況下で作成される遺言です。死亡危急者遺言、伝染病隔離者の遺言、在船者の遺言、船舶遭難者の遺言があります。
・は~ほ 意味
被相続人(ひそうぞくにん) 亡くなった人(故人)のことです。
負債(ふさい) 他人から金銭や物資を借りた場合の借りたもののこと、また債務のことです。
不動産(ふどうさん) 土地やそれに定着する建物・立ち木などのこと。
弁済(べんさい) 債務を履行することです。
法定単純承認(ほうていたんじゅんしょうにん) 相続人が熟慮期間中に承認や放棄の意思表示をする前に、故人の遺産を私的に消費したり、熟慮期間中に何の意思表示もしなかった場合などに、単純承認したとみなされる制度です。
保証債務(ほしょうさいむ) 債権者との保証契約による、保証人の債務です。
・や~よ 意味
遺言(ゆいごん) 被相続人の最終の意思表示のことです。遺言をすることで、自身が残した財産の処分方法について効力を及ぼすことができます。
遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ) 遺言の内容を実現させる者のことです。遺言執行者は、相続財産の管理や、遺言の執行のためのすべての権利と義務を持ちます。
遺言の検認(ゆいごんのけんにん) 家庭裁判所で行われる遺言の証拠保全手続きです。自筆証書遺言と秘密証書遺言に必要な手続きです。
遺言の撤回(ゆいごんのてっかい) 一度した遺言を書き直したい場合に行います。遺言の撤回は、新規に遺言を作成することで行います。
遺言無効確認請求訴訟(ゆいごんむこうかくにんせいきゅうそしょう) 被相続人の遺言が無効であると主張したい場合に、地方裁判所に遺言無効確認請求訴訟を提起できます。遺言が無効だと主張する主な理由は、遺言作成当時、被相続人が認知症であったなどの理由です。
・ら~ろ 意味
連帯債務(れんたいさいむ) 複数の債務者が、同一の内容の債務について、独立して全責任を負う債務です。債権者は各債務者に対して債務の全額を請求をすることができます。