あなたはご自身の本籍についてご存知ですか?
現在のご住所と同じ方もいれば、まったく別の場所が本籍という方もいらっしゃいます。
本籍とは、「ある人の戸籍上での所在場所」と言え、日本国内でいずれかの市区町村の区域に属することとされています。
本籍は現住所とは関係なく、どこでも自由に定めることができ、またどこかへ移動させることもできます。
たとえば、皇居を本籍地とすることも可能なんです。
今回は、この本籍の移動(移転)である転籍(てんせき)とその手続きについて、ご説明したいと思います。
戸籍について知りたい方へ
戸籍謄本(抄本)や除籍謄本(抄本)、改製原戸籍の意味や、全部事項証明書と個人事項証明書の違いなど、戸籍に関する基本的な事項をくわしく解説しています。宜しければご覧ください。
戸籍と除籍、全部・個人事項証明を易しく!転籍や附票、取り寄せ方まで
戸籍の転籍とは「本籍の移動」(管内転籍と管外転籍の2つ)
転籍には、大きくわけて、管内転籍と管外転籍の2つがあります。
どちらも現在の本籍地を移動させることは共通ですが、「移動先の場所」と「戸籍への記録方法」が異なります。
なにも難しいことはありませんから、一緒に見ていきましょう。
管内転籍(同一市区町村内での移動)
管内転籍とは、同一市区町村内での転籍をいいます。
管内転籍がされると、戸籍の「戸籍事項」という欄に転籍事項が記載され、本籍欄の表示が「転籍先の情報」に変更されます。(見本は以下で載せています。)
このように管内転籍では、今存在する戸籍の上で、本籍欄が変更され、転籍事項が戸籍事項欄に記載されるだけなので、新しく戸籍が編製(作成)されたり、従来の戸籍が除籍となったりするわけではありません。
それでは、管内転籍を、戸籍の全部事項証明書を例に見てみましょう。
下記は、全部事項証明書の本籍、氏名、戸籍事項の欄のみ抜粋した見本となります。
上図で、「戸籍事項」の欄に注目してください。
「戸籍編製」の下に「転籍」と記載がありますね。その右枠には「転籍日」と従前の記録として、「本籍」の表示があります。
このとおり、転籍前の本籍は「従前の記録」を見ればわかり、転籍後の本籍(現在の本籍)は、最初に記載されている本籍の表示(筆頭者氏名の上)を見ればわかります。
管内転籍であるので、従前の戸籍がそのまま使用されていることもわかりますね。
全部事項証明書はコンピュータ管理されている戸籍を言います。ですので、上の見本のように、「氏名」欄の上の「本籍」欄の表示はコンピュータ上で修正されることになります。紙媒体で管理しているわけではないので、「転籍前の本籍地を横線で消してから・・・」、ということはありません。
管外転籍(他市区町村への移動)
管外転籍とは、他市区町村への転籍(移動)をいいます。
管外転籍では、転籍先の市区町村で新しく戸籍が編製(作成)され、転籍元の市区町村で管理されていた戸籍は除籍となります。
戸籍の管理は市区町村の単位で行われることになっているので、他の市区町村へ戸籍を移転させるということは、管理元が変わるということです。そのため転籍前の戸籍は除籍され、転籍後の新しい戸籍が編製されるのです。
それでは、管外転籍を、戸籍の全部事項証明書を例に見てみましょう。
下図で、上の戸籍が転籍前のもの、下の戸籍が転籍後に新しく編製されたものです。
例では、浜松市浜北区から浜松市中区へ本籍を移動させています。
転籍前の戸籍には、左上の欄外に「除籍」の表示が付きます。
管外転籍では、他の市区町村へ本籍が移動されるため、転籍前の戸籍は除籍となるのでしたね。
転籍前の戸籍の「戸籍事項」欄には、「転籍日」と「新本籍」が記載されます。
そして、転籍先の市区町村にて、新たに戸籍が編製されます。
転籍先の新戸籍の「戸籍事項」欄には、「転籍日」と「従前本籍」の記載があります。これを見ることで、転籍前の情報が読み取れますね。
よく「除籍」という言葉を聞きますが、その正しい意味をご存知ですか?
除籍とは何か?除籍謄本や除籍抄本の違いにてご説明しております。
転籍の手続き
ここからは、転籍する場合の役所窓口での手続きについてご説明します。
便宜上、浜松市の役所窓口で転籍の届出を行う場合を例にご説明しますが、基本的な部分はどこも共通といえます。
心配な場合は、あらかじめ市区町村役場の窓口に電話して問い合わせてみましょう。
届出する方
戸籍の筆頭者とその配偶者
届出先
届出人の本籍地か所在地又は新しい本籍地
届出に必要なもの
- 転籍届1通
- 認印(朱肉を使うもの。届出人が二人の場合はそれぞれ違う印鑑)
- 戸籍謄本1通
※浜松市の同一区内で転籍する場合、戸籍謄本の添付は不要。(浜松市内に届出の場合に限る)
まとめ
今回はあまり馴染みのない転籍(本籍の移動)についてのお話でした。
この記事を読まれたことで、戸籍について少しでも愛着を持っていただければ幸いです。