こんにちは。行政書士の大石です。今回は非嫡出子の準正についてです。

婚姻関係にない男女の間に生まれた子は、嫡出でない子、つまり非嫡出子といいます。

この非嫡出子が特定の条件を満たすことで、嫡出子の身分を取得する仕組みがあります。これが準正(じゅんせい)です。

準正には「婚姻準正」「認知準正」の2種類が存在します。

この記事では、準正の種類と、そのメリットについてお話しします。

非嫡出子が嫡出子の身分を得るのが「準正」です

婚姻関係にある男女(つまり夫婦)の間に生まれた子が嫡出子です。それとは反対に、婚姻関係にない男女の間に生まれた子は嫡出でない子、つまり非嫡出子といいます。

準正とは、非嫡出子が嫡出子の身分を取得する仕組です。

準正が生じる要件は次の2つです。

  • 父母が婚姻をすること
  • 父が子を認知すること

上記2つの要件を満たせばよく、その順序はどちらが先でも良いです。

例えば、父母の婚姻後に父が子を認知するでも良いし、父が子を認知した後に、父母が婚姻するでも良いです。どちらにしても、準正の効果が生じます。

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父親がする子の認知とは何か?認知届の書き方について記事に詳しくまとめています。是非ご覧ください。

準正には次の2種類が存在します。

  • 婚姻準正
  • 認知準正

上記について、詳しく解説していきます。

① 婚姻準正

婚姻によって生じる準正を婚姻準正といいます。

婚姻準正とは、父が子を認知した後に、父母が婚姻したことで生じる準正をいいます(認知先行型)。

まさに、父が子を認知した後、父母の婚姻によって、準正の要件をすべて満たしたわけです。

以下に婚姻準正の民法規定を示します。

第789条1項 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。

(出典:e-gov-民法)

婚姻準正の効果により、子は嫡出子の身分を取得します。

② 認知準正

父親がする認知によって生じる準正を認知準正といいます。

認知準正とは、父母が婚姻した後に、父親が子を認知したことで生じる準正です。(婚姻先行型

まさに、父母が婚姻した後、父親が子を認知したことで、準正の要件をすべて満たしたわけです。

以下に、認知準正の民法規定を示します。

第789条2項 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。

(出典:e-gov-民法)

認知準正により、子は嫡出子の身分を取得します。

非嫡出子が嫡出子の身分を取得する:準正によるメリットは何?

非嫡出子が準正により、嫡出子の身分を取得すると、何か良いことはあるのでしょうか。

ひと昔前までの民法では、認知された非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分の2分の1でした。

つまり、非嫡出子は嫡出子よりも冷遇されていたのです。

この非嫡出子が嫡出子と同じだけの相続分を取得するために、準正という制度がとても重要だったわけです。

ですが、現在では認知された非嫡出子と嫡出子の法定相続分は同一のものとなっています。民法が改正されたためです。

ですので、準正によるメリットは、昔ほど大きなものではなくなったと言えるでしょう。

ただし、父親の認知により、父親と子の間に親子関係ができますし、父母が結婚して夫婦であることで、子としては安心できるでしょう。

「父」「母」「子」が死亡した場合と準正について

準正の要件は次の2つがありました。

  • 父母が婚姻をすること
  • 父が子を認知すること

それでは、上記の要件を満たす途中で、父、母または子が亡くなった場合、準正の効果がその後生じることはあるのでしょうか。

父が死亡した場合と準正の効果

たとえば、子の出生後に、父母が婚姻したとします。この時点で認知はされていません。

そして、認知をする前に父親が死亡したとします。この場合の準正はどうなってしまうのでしょうか。

結論から言うと、準正が生じる可能性はあります

父親の死亡後、3年以内に子または法定代理人が認知の訴えを提起すればよいのです。訴えが認められれば、準正の効果が生じます。

母が死亡した場合と準正の効果

たとえば、子の出生後に、父母が婚姻したとします。この時点でまだ認知はされていません。

そして、父親が子を認知する前に、母親が死亡した場合を考えます。

結論として、準正が生じる可能性はあります。

母親の死後、父親が子を認知すれば、認知準正の効果が生じます。

準正の効果が生じる前に母親が亡くなっていますが、「婚姻する」という要件はすでに満たしているのです。

子が死亡した場合と準正の効果

たとえば、子の出生後、父母が婚姻したとします。この時点でまだ認知はされていません。

そして、認知前に子が亡くなった場合を考えます。

そもそもですが、死亡した子を認知することはできるのか、という点が問題となります。

結論として、子に子(父母から見た孫)がいれば、父親は死亡した子を認知することができます

この認知により、認知準正の効果が生じます。

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なぜ死亡した子に子がいれば、死亡した子を認知できるようになるのかについて、「胎児・未成年・成年の子の認知のやり方|認知届の書き方」でまとめています。よろしければご覧ください。

まとめ

非嫡出子が嫡出子の身分を取得する準正についてご紹介してきました。準正の要件とは「父母が婚姻すること」と「父が子を認知すること」でした。そして、準正には認知先行型の婚姻準正と、婚姻先行型の認知準正がありました。

民法改正により、昔ほど重要な制度とは言えないかもしれませんが、そのような制度があること、仕組みについては知っておいて損はないかと思います。