『先日、借家の家主さんから内容証明郵便が届きました。でも、いきなりで訳も分からず、つい受け取り拒否をしてしまいました…
拒否すると何かまずいことになりますか?中身はまったく見ていません。相手の請求や通知はなかったことになりますか?』

このような疑問にお答えします。

「せっかく内容証明郵便を出したのに受け取りを拒否された!」という差出人にとっても本記事で解説する内容は重要なので、最後まで読んでみてください。

記事のテーマ
  • 内容証明郵便の法的効果(効力)と返信義務
  • 内容証明郵便での請求・通知などの意思表示にはどんなものがあるか
  • 内容証明郵便の受け取りを拒否した場合、通知内容(意思表示)の効力は有効か無効か

内容証明郵便の法的効果(効力)と返信義務

内容証明郵便を受け取ると、誰でもビクッとなると思います。

おそらく、「何か問題を起こしてしまったのかな?」とか「やっかいな手紙を受け取ってしまったな」とか考えるでしょう。

ですが、内容証明郵便が届いたからといって、直ちに慌てて何かしなければならないわけではありません。まずは冷静に中身を読んでみることが大事です。

内容証明郵便とは、郵便局が以下の内容を証明してくれる制度です。

  • いつ
  • どんな内容の文書(手紙)を
  • 誰から
  • 誰宛に差し出したか

つまり、内容証明郵便の差出人からすると、「どのような内容の文書をいつ誰に送ったのか」を証拠として残しておきたい場合に効果を発揮する手段であるわけですね。

ただ、内容証明郵便を受け取ったからといって、受取人に返信義務があるわけではなく、内容証明自体にも法的な拘束力はありません。

つまり、内容証明郵便には請求に対する何かしらの行動を強制できる効力はありません。

内容証明郵便での請求・通知(意思表示)にはどんなものがある?

内容証明郵便を出す目的とは、相手方に何かしらの請求や通知などの意思表示をすることです。

意思表示の例としては、例えば次のようなものがあります。

  • 貸金返還請求
  • 契約解除
  • 賃料増額請求
  • 借家契約の更新拒絶の通知
  • 時効中断の請求
  • 相殺の通知
  • 抵当権消滅請求

それでは、差出人がこれらの意思表示を内容証明郵便でした場合、相手が受け取りを拒否したとしましょう。当然相手は中身を読んではいません。

この場合、どのような法的効果が発生するでしょうか?

差出人がしたはずの意思表示は有効となるのか、それとも受け取り拒否だから無効なのか…?

内容証明郵便の受け取りを拒否!通知・請求の効力はどうなる?【結論:有効です】

まず前提知識として、通知や請求などの意思表示はどのタイミングで効力が生じるのかをご説明します。

意思表示とは、上でご紹介したような、「契約解除の意思表示」や「時効中断のための意思表示」などです。

民法に次のとおり規定されています。

(隔地者に対する意思表示)
第九十七条 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

隔地者とはつまり、差出人から離れた場所に住所を有する相手方のことだと考えてください。

上記のとおり、民法において意思表示とは、相手方に到達した時点で初めて効力を生じるとされているのです。

当然、内容証明郵便による意思表示も、相手方に到達しなければ、効力が生じないということになりますね。

それでは、相手が内容証明郵便の受け取りを拒否した場合、意思表示は無効となってしまうのか?ということが問題となります。そもそも相手は手紙の中身を読んでいないわけです。

結論として、受け取り拒否の場合には、意思表示(通知や請求の内容)は有効です。無効とはなりません。

その理由は以下のとおりです。

民法97条のとおり「意思表示」は相手に到達したときに効力が生じるが、この場合の「到達」とは、相手方の支配圏内に入り、相手にとって了知可能な状況に置かれることをいう。

要するに、相手が内容証明郵便(意思表示)の中身を現実に見たかどうかは問題ではなく、”相手がその意思表示を知りうる状態”になればよいということなのです。

ここで、内容証明郵便が自宅に届いた際に、あなたが受け取りを拒否する様子をイメージしてみてください。

あなたは実際に郵便配達員から手渡されましたが、自分の意思で受け取りを拒否しているわけです。当然、受け取って中身を確認しようと思えばできるわけです。

つまり、あなたにとって「通知を知ろうとすればできる状態」にあったわけなので、意思表示は到達されたこととなり、その意思表示(通知や請求など)は有効となるのです。

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ちなみに、あなたの配偶者やお子さん、同居人が勝手に受け取りを拒否したような場合も、あなたが拒否した場合と同様の扱いとなり、内容証明郵便による意思表示(通知や請求など)は有効となります。

なお、繰り返しになりますが、ここでご説明しているのは、あくまで「差出人の意思表示が有効である」ということであって、内容証明郵便の受取人に対する返信義務や法的拘束力は生じません。

内容証明郵便の受け取り拒否はせず中身を確認しましょう

ここまでご説明してきたように、あなたが仮に届いた内容証明郵便の受け取りを拒否したとしても、差出人による通知や請求などの意思表示は有効となります。

例えあなたが内容証明郵便の中身を読んでいなくてもです。

つまり、あなたの知らないところで、何かしらの法的効果が生じている可能性があるわけです。

内容証明郵便を受け取ったからといって、あなたに返信義務が生じるわけでもなければ、相手があなたに何かしらの行為を強制できるわけでもありません。これは既にご説明したとおりです。

ですが、それと内容証明郵便の受け取りを拒否するのとは話は別です。

あとあとトラブルとならないよう、届いた内容証明郵便は受け取りの拒否をせず、しっかりと中身を確認しましょう。

その方が、今後の対応、対策がとりやすくなります。場合によっては、弁護士や行政書士などの専門家に依頼することも視野に入ります。