祭祀主宰者とは何ですか?また、遺言で指定する方法を教えてほしいです。
今回は遺言で祭祀主宰者を指定する書き方をご紹介します。
その前に、遺言書の作成ルールがまったくわかりません。それも教えてください。
はい、遺言書の作成にはルールがあります。以下の記事で易しく解説しています。
遺言書で祭祀主宰者を指定する文例
実際に遺言書の文例を見てみましょう。
遺言書の文例を以下に記載します。
遺言書
遺言者 山田太郎は、次の通り遺言する。
第1条
遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男山田五郎(昭和〇年〇月〇日生)を指定する。
第2条
長男山田五郎には祭祀に必要な費用に充てるため、次の遺言者名義の預金債権を相続させる。
〇〇銀行△△支店 普通預金 口座番号××××の全額
令和〇年〇月〇日
静岡県浜松市〇区〇〇町××
遺言者 山田太郎 ㊞
祭祀を主宰していくということは、祭祀財産の管理費や葬儀費用などがかかるので、その費用に充てるため、財産を相続させる遺言の文例です。
そもそも祭祀主宰者とは何者か?
祭祀主宰者とは何ですか?
まず、お墓や仏壇、家系図、位牌などの財産を総称して、祭祀財産と呼びます。祭祀とは祖先を祭るという意味があります。
主宰とは、人々の上に立ち、中心となって物事を行う、という意味があります。
つまり祭祀主宰者とは、お墓や仏壇などの祭祀財産を管理しつつ、祖先を祭り、葬儀や法事などを代表して行っていく者ということです。
祭祀主宰者に指定された者が、先祖代々のお墓や仏壇などを管理していくことになります。
指定と言っても、家族や苗字が同じ人が継がないといけないのでは?
いいえ、そのようなことはありません。
祭祀財産については必ず家族、さらには苗字が同じ家族が継がなければならないということはなく(法律上の話)、地域の慣習や遺言者の指定などによって誰が引き継ぐかを決めることになります。
といっても、家族の中から指定するのが一般的ということですね。
遺言で祭祀主宰者を指定する意義
祖先の供養を誰がしていくか、これは大事なので、場合によっては家族でもめることもあります。また、遺言者である方も、だれだれにお願いしたい、という気持ちがあることでしょう。
そのため、遺言者から見て、家族に争いが生じそうな場合は事前に話し合いをして、祭祀主宰者を指定しておくことが望ましいでしょう。
ただ、遺言書で祭祀主宰者を指定できるとはいえ、一方的に決めてしまうのはお勧めできません。できれば候補者と話し合いをし、直接にお願いをするべきでしょう。
息子にお願いしたいが、息子は滅多に実家に帰ってこないしなぁ。
そういった点を含め、誰に任せるべきかを話し合われるのが良いですね。
遺言書の文例を豊富にご紹介します
この記事でご紹介した他にも、以下のとおり豊富な文例をご用意しております。ぜひご一緒にご覧くださいませ。
※記事へのリンクはこの下にございます。
- 妻に全財産を相続させる(子供のいない夫婦)
- 妻に全財産を相続させる(子供のいる夫婦)
- 相続権のない内縁の妻(夫)に財産を遺す
- 再婚相手の連れ子に財産を遺す
- 子がいるが父母にも財産を遺したい
- 息子の嫁(または娘の婿)に財産を遺す
- 甥、姪に財産を遺す
- 財産を自治体や法人、団体などへ寄付する
- 非嫡出子(婚外子)を認知して財産を相続させる
- 家族の世話を条件として遺産を与える
- ペットの世話を条件として遺産を与える
- 土地、建物及び建物内の全ての財産(家財)を相続させる
- 区分所有建物(分譲マンション)を相続させる
- 借地権を相続させる、または遺贈する
- 農地を相続させる(農業委員会の許可も)
- 預貯金(預金債権、貯金債権)を相続させる
- 株式、投資信託、国債などの有価証券を相続させる
- 自動車を相続させる
- 絵画、書画、骨董品などを相続させる
- 宝石や貴金属などの高価な物品を換金して相続させる
- 子供の相続分に差がある場合の対処
- 借金などの負債を相続させる割合を指定する
- 祭祀主宰者を指定する
- 遺産を与えたくない推定相続人を廃除する
- 予備的遺言を書く(相続人や受遺者の死亡に備える)
- 遺言執行者を指定する
- 未成年後見人、未成年後見監督人を指定する
- 生命保険金の受取人を変更する
上記文例の一覧は、下記の記事にてまとめています。
文例集【遺言書の文例集】ご遺族で争わず、無効にしない書き方・表現リスト要チェック! 相続、遺言の基礎知識まとめ(カテゴリーごとに解説します)
相続、遺言について深く学ばれたい方はぜひご確認ください。