未成年の子がいます。親権者は私一人です。未成年後見人を遺言で指定する方法が知りたいです。
今回は遺言で未成年後見人を指定する場合の、遺言書の文例をご紹介します。
この記事では、未成年後見人、未成年後見監督人を指定する場合の、遺言書の書き方、文例をご紹介します。
その前に、遺言書の書き方の決まりがわからないのですが…
遺言書の作成にはルールがあります。不備があると無効になるので、ご存知ない方は作成方法についても、一緒にご確認くださいね。
遺言で未成年後見人、後見監督人を指定する文例
未成年後見人を指定するのは、次のとおり記載します。参考にしてみてください。
遺言書の文例を以下に示します。
遺言書
遺言者 山田太郎は、次の通り遺言する。
第1条
1.遺言者は、未成年者である長女山田和子(平成〇年〇月〇日生)の未成年後見人として、遺言者の母である山田文(昭和〇年〇月〇日生)を指定する。
2.未成年後見監督人として、遺言者のいとこである山田三郎(昭和〇年〇月〇日生)を指定する。
平成〇年〇月〇日
静岡県浜松市〇区〇〇町××
遺言者 山田太郎 ㊞
基本的には、上記見本のとおり記載すれば問題ありません。あとは状況に応じて修正してみてください。
未成年後見人の指定ができる者、欠格者、後見監督人
文例は上記見本のとおりですが、併せて知っておいていただきたい事項をご説明していきます。
未成年後見人の指定ができるのは最後に親権を行う者
ちなみに未成年後見人の指定って、遺言で誰でもできるのですか?
いいえ、実は遺言で未成年後見人の指定ができる人は制限があります。
遺言書で未成年後見人の指定ができるのは、「最後に親権を行う者」とされています。民法に次の規定があります。
(未成年後見人の指定)
第八百三十九条 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
2 親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。
最後に親権を行う者についてお話します。
親権者は通常は子のご両親ですね。ですが、親権者が一人だけの場合も存在します。
たとえば、両親の片方が死亡している、または離婚している場合で、親権者が1人しかいない場合、この者が「最後に親権を行う者」に該当します。
未成年後見人になれない人(欠格事由)
次に示す者は、後見人になることができません。ご注意ください。
- 未成年者(ただし、結婚していれば成年とみなされる)
- 家庭裁判所に免ぜられた法定代理人または保佐人または補助人
- 破産者
- 被後見人に対し訴訟をした者およびその配偶者、直系血族
- 行方のわからない者
つまりは、責任を持てない人、判断能力に衰えがある人、信用が困難な人など、未成年後見人としてふさわしくないと一般的に考えられている者が、欠格者となります。
民法に次の規定があります。
(後見人の欠格事由)
第八百四十七条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三 破産者
四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五 行方の知れない者
未成年後見監督人の指定もできる
未成年後見人が適切に事務を行っているかを監督する、未成年後見監督人という役割も存在し、同じく遺言書で指定することが可能です。
ただし、未成年後見監督人にも欠格事由(就任できない人)があります。
具体的には、未成年後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、未成年後見監督人になることができません。
未成年後見監督人を指定する場合には、上記の者が該当しないように注意しましょう。
以上、遺言での未成年後見人の指定についてでした。さらに色々な文例をケース別に知りたい方は、下記もご覧ください。
遺言書の文例を豊富にご紹介します
この記事でご紹介した他にも、以下のとおり豊富な文例をご用意しております。ぜひご一緒にご覧くださいませ。
※記事へのリンクはこの下にございます。
- 妻に全財産を相続させる(子供のいない夫婦)
- 妻に全財産を相続させる(子供のいる夫婦)
- 相続権のない内縁の妻(夫)に財産を遺す
- 再婚相手の連れ子に財産を遺す
- 子がいるが父母にも財産を遺したい
- 息子の嫁(または娘の婿)に財産を遺す
- 甥、姪に財産を遺す
- 財産を自治体や法人、団体などへ寄付する
- 非嫡出子(婚外子)を認知して財産を相続させる
- 家族の世話を条件として遺産を与える
- ペットの世話を条件として遺産を与える
- 土地、建物及び建物内の全ての財産(家財)を相続させる
- 区分所有建物(分譲マンション)を相続させる
- 借地権を相続させる、または遺贈する
- 農地を相続させる(農業委員会の許可も)
- 預貯金(預金債権、貯金債権)を相続させる
- 株式、投資信託、国債などの有価証券を相続させる
- 自動車を相続させる
- 絵画、書画、骨董品などを相続させる
- 宝石や貴金属などの高価な物品を換金して相続させる
- 子供の相続分に差がある場合の対処
- 借金などの負債を相続させる割合を指定する
- 祭祀主宰者を指定する
- 遺産を与えたくない推定相続人を廃除する
- 予備的遺言を書く(相続人や受遺者の死亡に備える)
- 遺言執行者を指定する
- 未成年後見人、未成年後見監督人を指定する
- 生命保険金の受取人を変更する
上記文例の一覧は、下記の記事にてまとめています。
文例集【遺言書の文例集】ご遺族で争わず、無効にしない書き方・表現リスト要チェック! 相続、遺言の基礎知識まとめ(カテゴリーごとに解説します)
相続、遺言について深く学ばれたい方はぜひご確認ください。