こんにちは。行政書士の大石です。

遺言書には具体的にどんな内容を書くのかご存知でしょうか。

簡単にいえば、「私の財産をだれだれに相続させる。」といった具合に、自己の有する財産の分け方を書きますね。

ですが、遺言に書ける内容は遺産相続に関することだけではありません。

このほか、遺言書に書ける内容として、付言(ふげん)というものがあります。

財産に関する項目も大切なのですが、それに負けないくらい、付言の内容も大切なのです。

この記事では、付言とは何か、どんな内容を書くべきなのかについてお話します。

付言には何を書いたらいい?

付言とは、遺産の相続に関すること以外について書く部分です。

付言に書く内容を付言事項といいますが、反対に遺産相続に関して書く内容は法定遺言事項と言います。

法定遺言事項とは、文字通り、遺言書に書けることとして、法律で定められた事項のことです。

たとえば、「だれだれに不動産を相続させる」や「だれだれに預貯金を遺贈する」、「だれだれを認知する」、「だれだれを遺言執行者に指名する」といった内容は、遺言でできることとして、法律で定められているのです。

それに対して、付言にはどんな内容を書いても構いません。

そのため、遺族にとっては、遺言者が付言に書いてくれる内容がとても重要となってくるのです。

me

遺言書のどこに付言を書いたらいいのか、具体的な書き方についてはこちらをご覧ください。

家族への感謝を付言に書こう

思い返せば、家族に看護してもらったことや、親戚にお世話になったことなど、きっとあると思います。

普段は直接に感謝を伝える機会がなかった方も、遺言書ならば、きっと本当の気持ちを伝えることができると思います。

家族にとっては、もちろん遺産相続に関する内容も大切ではありますが、心のこもった感謝の言葉ほど嬉しいものはないはずです。きっと、一生の宝になるでしょう。

別にコンパクトにまとめる必要などないのです。書きたいことをそのまま文字にしましょう。

家族へのお願い事を付言に書こう

家族へお願いしたいことがあれば、それを書きましょう。

たとえば、自身の葬儀についての要望や、宗派について、埋葬の方法についてなどです。

エンディングノートに記載しているのであれば必要ありませんが、なければ付言として書いておきましょう。

また、子に対して、「高齢である母の介護を行ってほしい」旨や、「兄弟仲良く暮らしてほしい」といった内容も考えられます。

自分が亡くなった後に、残された家族にどうしてほしいのかについて思っていることを書くと良いでしょう。

遺産の分割方法を指定した理由を付言に書こう

遺言には、自己の有する財産の分け方(分割方法)を指定することができます。

「妻の花子には土地と家を、長男の太郎には預金1000万円を、次男の次郎には〇〇株式会社の株式5000株を相続させる」

といった具体です。

そして、なぜそのように財産を分割することにしたのかの理由を付言に書くのです。

そうすれば、相続人たちも納得ができるでしょう。

もしも、自身の相続分が他の相続人よりも少ない相続人がいた場合に、付言に何の理由も書かれていなければ、納得がいかずに、相続人同士で争いになるかもしれません。

こういった争いを回避するために、遺産の分割方法の理由を付言として書くことをおすすめします。

遺贈の理由を付言に書こう

遺贈(いぞう)とは、財産を無償で第三者へ譲ることを言います。

遺贈の相手は相続人でも、相続人でない第三者でも構いません。つまり、まったくの他人に対しても、遺贈をすることはできるのです。

ここで、遺言者ではなく、相続人の立場になって考えていただきたいことがあります。

あなた(相続人の1人)が被相続人(亡くなった方)の遺言を発見しました。そこには、相続人の誰もが知らない他人に対して、財産の一部を遺贈する旨が記載されていました。

さて、あなたはどう思いますか?

「えっ?誰だよ、この人は。知らない人に財産が遺贈されているんだが・・・」

と戸惑ってしまいますよね。

ですので、なぜその人に遺贈をすることに決めたのかを、必ず付言に書くようにしましょう。

たとえば、

「鈴木一郎さんは、私の恩師であり、私がまだ若いころに大変お世話になりました。感謝の気持ちを込め、財産の一部を遺贈することにしました。」

といった理由を付言として書いておくのです。

そうすれば、それを見た家族は、あなたの気持ちを理解してくれるはずです。

me

遺言で遺贈をする場合や、付言の書き方についてまとめています。よろしければご覧ください。

遺留分減殺請求について付言に書こう

遺言が、特定の相続人に財産のほとんどを相続させる内容となっていたり、同様に第三者に遺贈させる内容となっていたりする場合があります。

このような場合、その他の相続人の遺留分を侵害している可能性が出てきます。

すると、被相続人の死後、遺留分を侵害された相続人から、財産の多くを相続した相続人または受遺者に対して、遺留分減殺請求がされる可能性が出てきます。

me

相続人の遺留分と計算方法遺留分減殺請求の相手は誰か、について詳しく記事にしています。よろしければご覧ください。

遺留分減殺請求とは何か、また請求がされると何が起こるかについては、上で示しました記事に詳しくまとめてあります。

簡単にご説明すると、遺留分(相続人に与えられる最低限の遺産の取り分)を遺言によって侵害された相続人は、侵害した相続人(財産の多くを相続した相続人や受遺者)に対して、遺留分減殺請求ができます。

その結果、遺留分を侵害された相続人の遺留分を確保する限度で、財産を取り返すことができるのです。

上記のような事態になってしまうと、遺言者の意思は結果的に尊重されなくなってしまいます。そればかりか、相続人同士で争いに発展する可能性もあります。

そこで、なぜ特定の相続人の遺留分を侵害するような遺言を書いたのかについて、付言に理由を記しておくのです。

たとえば、次のような内容を付言として残しておくとよいでしょう。

妻の花子には、私の病気が原因でたくさん迷惑をかけてしまい、また世話になった。

花子自身も体が弱いので、今後の生活が心配のため、全財産を妻に相続させることに決めた。

なお、子供たちは、私の意思を尊重し、遺留分減殺請求をしないようお願いしたい。

まとめ

遺言書の付言に記載すべき内容をいくつかご紹介しました。

付言には法的な効力はありません。したがって、付言に書いた内容を必ず守らなければならない決まりもありません。

ですが、他でもない大切な方が書いたものなので、遺族もきっと理解してくれると思います。