elder_man_gimon

遺言執行者の指定、選任方法について教えてください。

行政書士 大石行政書士 大石

遺言執行者の決め方は大きく2通りあります。わかりやすく解説していきます。

この記事でわかること
  1. 遺言執行者の選定(遺言による場合)
  2. 遺言執行者の選定(家庭裁判所の審判)

遺言執行者を選任する方法は2つ【遺言/家庭裁判所の審判】

遺言執行者を選任するには、以下2つの方法があります。

  • 遺言者が遺言により指定する
  • 家庭裁判所の審判により選定する

この2点について、解説していきます。

遺言者が遺言により指定する

遺言者は遺言により、遺言執行者を指定することができます(民法1006条1項)。

指定する遺言執行者は一人でも複数人でも構いません。基本的に一人ですが、遺言事項が多い場合には、複数人を指定して分担させることもあります。

また、遺言執行者の指定を第三者に任せる(委託)遺言を書くこともできます。信頼できる人に遺言執行者を決めてもらいたいときに有効な方法です。

なお、遺言執行者を指定する遺言の文例は以下の記事をご覧ください。

おすすめ 遺言書の書き方:遺言執行者を指定する【権限と事務委託、報酬額】
気を付ける点!

遺言で遺言執行者を指定しても、その人がその時になって引き受けてくれるかは不明ですね。そのため、事前に相談して承諾を得ておくと良いでしょう。指定した人が引き受けられなかった場合を想定し、第2候補を指定する遺言もできます(予備的遺言という)。

家庭裁判所の審判により選定する

遺言執行者が遺言により指定されていないときや、指定された者が辞退するような場合もあります。

こうした場合には、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、遺言執行者を選任することができます(民法1010条)。

具体的な手続きについては、以降で解説していきます。

遺言執行者の選任申立て方法【家庭裁判所】

家庭裁判所での遺言執行者の選任手続きについて、申立書の書き方などを踏まえてご説明します。

申立て手続き

以下に申立ての手続きについて掲載します。

申立人 利害関係人(相続人,遺言者の債権者,遺贈を受けた者など)
申立先 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
管轄裁判所を調べたい方はこちら
申立てに必要な費用
  • 執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)
申立てに必要な書類
  • 申立書
  • 遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
  • 遺言執行者候補者の住民票又は戸籍附票
  • 遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し
  • 利害関係を証する資料(親族の場合,戸籍謄本(全部事項証明書)等)

※必要に応じて、追加書類の提出を求められる場合あり

 

手続きの詳細は家庭裁判所HP-遺言執行者の選任にてご覧いただけます。

申立書の書き方

遺言執行者選任申立書の書き方を以下に示します。

遺言執行者選任申立書その1

遺言執行者選任申立書その2

(参照:家庭裁判所HP

上記申立書の最新版については、家庭裁判所HPにてダウンロード可能です。

遺言執行者の候補者を出す

上に示した記入例(2枚目)にもあるように、遺言執行者の候補者を指定することができます。例では弁護士を指定してますが、別に誰でも構いません。

家庭裁判所は、遺言執行者選任の審判をするにあたり、必ず候補者となる者の意見を聴くこととされています。

家庭裁判所は候補者の推薦に拘束されることはないですが、候補者が適任であるかどうかを判断します。

遺言執行者の選任申立てが却下される場合

家庭裁判所における遺言執行者の選任は、遺言の内容が執行を必要とする場合にのみ行われます。

例えば遺言で子の認知、推定相続人の廃除やその取り消し、一般財団法人の設立などを行う場合、遺言執行者が必要となります。他にも、遺言で遺贈や信託を行う場合なども遺言執行者を選任する利益はあると考えられています。

しかし、遺言の内容が相続分の指定や遺産分割方法の指定だけなど、遺言執行者による執行が必要ない事項の場合では、選任の申立は却下されることになります。

遺言執行者が必要となる遺言事項については、以下の記事をご覧ください。

おすすめ遺言執行者は本当に必要か?【選任すべき3つのケース】理由も解説!

遺言執行者になれない人(欠格事由)

遺言執行者は相続人や法律家など、誰でも就任することができますが、民法では遺言執行者になれない者が定められており、次のとおりです(民法1009条)。

  • 未成年者
  • 破産者

遺言執行者は遺言の執行という非常に責任の伴う職務を全うする必要があるため、これらの者には任せられない、と民法は考えているようです。

なお、遺言の作成時には未成年者であっても、遺言執行時には成年になっている場合もあるでしょう。

欠格事由の判断基準時は、遺言作成時とする見解、遺言の効力発生時(死亡時)とする見解、遺言執行者の就職日とする見解がありますが、遺言執行者の就職日(就職の承諾時)をもって基準時とすべきとする見解が有力です。

遺言執行者の選任に困った場合

遺言執行者を誰にしたらよいか迷うことは大いにあると思います。

仮に遺言書の作成を法律の専門家に任せていたとすれば、その専門家を遺言執行者と指定しておくケースもあります。

その他、相続人の一人(長男など)を指定するケースが一般的かもしれません。

また、遺言執行者に指定する者は信頼できる者であることは当然ですが、中でも財産を一番多く取得する相続人に任せる、というのが確実かもしれません。

本当に誰もあてがないのであれば、弁護士などの専門家を探してみるのが妥当でしょう。

まとめ

遺言執行者の選任方法についてご紹介しました。一番簡単なのは遺言で指定しておくことでしょう。

遺言執行者は非常に重要な役割を果たすことになるので、必ず信頼できる者を選びましょう。