今回は遺言書の保管場所はどこがいいか?についてです。
あなたが丹精込めて遺言書を作成したとしましょう。さて、いったいどこで保管すればよいでしょうか。
誰にでも見つかってしまうような場所では、不安ですよね。知らぬ間に開封されてしまうかもしれません。
かといって、自分しか発見できないような場所に隠してしまうと、最終的に誰にも見つけてもらえない恐れがあります。これでは何のために遺言を書いたのかわかりませんね。
では、いったいどのような場所に保管するのが好ましいのでしょうか。解説していきます。
遺言書の保管場所はどこが良い?
遺言とは何のために作成するのか・・・
それは、自身が亡くなった後に、自己の財産を遺族(相続人)にどのように分け合ってほしいのかを伝えるために作成するのです。
つまり、被相続人(亡くなられた方)の死後、相続の手続きを行っていきますが、その際に遺言書が発見されている必要があるわけです。
もしも遺言書が見つからなかった場合には、遺言書なしで相続手続きを進めることになり、遺言者の意思が全く反映されなくなってしまいます。こんな悲しいことはありません。
それでは、いったいどこに遺言書を保管するべきでしょうか。
遺言書の保管場所としてよく選ばれる場所
遺言書がよく発見されるのは、自宅の「仏壇」「タンス」「書斎」、金融機関の「貸金庫」などです。
鍵の管理を慎重に行えるのであれば、自宅の金庫なども良いでしょう。
上記の場所ならば、すぐに見つかってしまうわけでもなく、被相続人の死後、手分けして探すことが可能な範囲であると言えますね。
つまり、遺言書を探す場合、まずは上記のような場所から探していくと良いでしょう。
金融機関の貸金庫で遺言書を保管する方は要注意
ここで注意が必要なのが、金融機関の「貸金庫」です。
貸金庫の利用者(契約者)が亡くなると、預金口座などと同様に、貸金庫は凍結され、開閉が困難になるのです。
開閉するためには、相続人全員の立ち合いのもと、全員分の印鑑証明書、実印なども必要となってきます。
相続人が少ない場合にはとくに問題ありませんが、相続人が多く、さらに相続で争っているような場合には、なかなかうまく手続きが進まないこともありえます。
もしも遺言書が貸金庫の中に保管されているような場合、上記のように手続きが滞ると、遺言の発見が遅れてしまいますので、あまりお勧めはできません。
因みに、金融機関の貸金庫には利用料金がかかります。
金庫のサイズやタイプにもよりますが、だいたいのところ、高さ10cm、横25cm、奥行き50cm程度で、年間30,000円程度が相場です。
おすすめ1:法律の専門家に遺言書の保管を任せる
自宅内での保管以外に考えられるのが、弁護士や司法書士、行政書士といった専門家に保管を任せることです。
たとえば、遺言の作成でお世話になった専門家に、保管も一緒に任せる、という方も多いです。
信頼できる専門家に保管を任せることで、第三者による盗難、隠匿、偽造、変造の危険もなくなります。遺言書をすぐに見つかる場所に保管した場合に一番怖いのが、この問題です。
ただし、遺言者が亡くなった場合に、遺言書を提示してもらう必要があるので、連絡手段を整えておく必要があります。定期的に連絡を取り合うことも大切ですね。
また、法律家でなくても、遺言の内容に利害関係のない信頼できる第三者に保管を任せることも良いでしょう。
たとえば、信頼できる友人などです。
ただ、その友人が先に亡くなってしまったり、引っ越してしまったりすると遺言の発見が困難になるので、やはり定期的に連絡を取り合うのがよいでしょう。
おすすめ2:公正証書遺言を作成する
上でご説明してきた内容は、自筆証書遺言や秘密証書遺言を想定した保管場所となります。
遺言書の形式は3種類あり、それが自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言です。このうち、自筆証書遺言と秘密証書遺言は、遺言者自身で保管することになります。
そのため、どこに保管するのが最適か、といった問題が生じるのです。
公正証書遺言とは、全国にある公証役場という場所で、法律の専門家である公証人によって作成してもらう遺言書です。
公正証書遺言は、原本が公証役場で保管されます。すなわち、遺言者自身が原本を保管する必要がないので、一番安心できるといってよいでしょう。第三者による偽造、変造、隠匿の危険もありません。
また、公正証書遺言を探す場合には、全国の公証役場にて、遺言検索システムを利用することができます。これにより、どの公証役場で遺言書が保管されているかをすぐに調べることが可能です。検索は無料でできます。
すぐに発見される心配がなく、遺言者の死後は確実に発見できるということで、安全面からも、相続手続きの面からも、公正証書遺言が一番安心といえますね。
まとめ
遺言書の保管場所についてお話しました。
自分自身で保管する必要のある自筆証書遺言と秘密証書遺言については、どこに保管すればよいのかが一番の問題となります。
遺言者の存命中はすぐに見つからない場所がよく、遺言者の死後は逆にすぐ見つからなければならない、という問題があります。
信頼できる法律の専門家や知人に預けるのが一番よいかもしれませんね。
公正証書遺言は原本が公証役場で保管され、遺言者の死後はすぐに検索できるので確実といえます。
いずれにしても、最終的にご判断なされるのは皆さまです。とても大切な問題なので、是非お考えになってみてください。
要チェック! 相続、遺言の基礎知識まとめ(カテゴリーごとに解説します)
相続、遺言について深く学ばれたい方はぜひご確認ください。