子がいないので、妻に全財産を相続させたいのですが、遺言書はどうやって書けばいいでしょうか?
今回は全財産を配偶者に相続させる遺言の文例をご紹介します。
この記事では、配偶者に全財産を相続させる場合で、子供がいないケースを題材にお話します。
いや待てよ。そもそも遺言書って作成に決まりはあるのかな?
はい、ありますよ。遺言書はルールを守って書かないと、無効になるので注意が必要です。
遺言書の書き方にはルールがあります。形式上の不備があった場合、遺言書が無効となるので注意する必要があります。
でもご安心を。以下の記事で解説しているので、一緒にお読みください。
おすすめわかりやすい!正しい遺言書の書き方、加除訂正、封筒の例【見本あり】【遺言書の文例】子供のいない夫婦|妻・夫に全財産を相続させる
全財産を妻に相続させる場合の遺言書の文例をご紹介します。
下記はあくまで一例ですが、参考にしてみてください。
遺言書
遺言者 山田太郎は、次の通り遺言する。
第1条
遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、遺言者の妻山田花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
平成〇年〇月〇日
静岡県浜松市〇区〇〇町××
遺言者 山田太郎 ㊞
上記のとおり、「遺言者の有する一切の財産を~に相続させる」という書き方をします。
ほほう、そんなに難しくはないですね。
子供のいない夫婦:上記の遺言はどんな場合に有効か
配偶者だけに全財産を遺すという遺言は、どのような場合に有効なのかご説明します。
たとえば、被相続人の相続関係が次のとおりだとします。
上記で、相続人は配偶者と兄弟です。子供がいないため、被相続人に存命のご両親がいなければ、兄弟姉妹が相続人となるのです。
例えばですが、被相続人が生前に兄弟と折り合いが悪かった、疎遠になっていたなどの事情で、遺産を相続させたくない場合があります。
ですが、遺言書を作成しなければ、法定相続人である兄弟は財産を相続する権利があります。これだと、被相続人の意思が尊重されないわけですね。
そのために、遺言書でしっかりと、「配偶者に全財産を相続させる」旨を書いておく必要があるのです。
子供がいれば子が相続人となり、兄弟に相続権はないのですが、子がいない場合はこのような遺言書を作成される方も多いでしょう。
おすすめ法定相続人の範囲と相続順位・相続分を解説【雛形を無料贈呈!】誰が相続人になるのか、詳しくは上の記事をご覧ください。
兄弟から遺留分を請求される心配はありません
遺留分とは、被相続人の配偶者、直系卑属、直系尊属に保障される遺産の最低限の取り分をいいます。
この最低限の取り分さえ相続できないとなると、その相続人は遺留分を侵害されている、と表現します。
遺留分を侵害された相続人は、その原因となった財産を取得した者に対して、遺留分の請求をすることで、金銭の支払いを要求できるのです。
遺産の全額を配偶者に相続させるとなると、相続人である兄弟から遺留分を請求される(遺留分侵害額請求という)恐れはないのかと不安になるかもしれません。
ですが、法律では、第3順位の相続人である兄弟姉妹には、遺留分が保障されていません。
したがいまして、兄弟から遺留分を請求される心配はなく、安心して配偶者に全財産を相続させることができます。
おすすめ【法定相続人の遺留分】仕組み・計算方法・侵害額請求の方法を解説遺留分とは何か、その割合と計算方法、請求の方法は上の記事をご覧ください。
遺言書の文例を豊富にご紹介します
この記事でご紹介した他にも、以下のとおり豊富な文例をご用意しております。ぜひご一緒にご覧くださいませ。
※記事へのリンクはこの下にございます。
- 妻に全財産を相続させる(子供のいない夫婦)
- 妻に全財産を相続させる(子供のいる夫婦)
- 相続権のない内縁の妻(夫)に財産を遺す
- 再婚相手の連れ子に財産を遺す
- 子がいるが父母にも財産を遺したい
- 息子の嫁(または娘の婿)に財産を遺す
- 甥、姪に財産を遺す
- 財産を自治体や法人、団体などへ寄付する
- 非嫡出子(婚外子)を認知して財産を相続させる
- 家族の世話を条件として遺産を与える
- ペットの世話を条件として遺産を与える
- 土地、建物及び建物内の全ての財産(家財)を相続させる
- 区分所有建物(分譲マンション)を相続させる
- 借地権を相続させる、または遺贈する
- 農地を相続させる(農業委員会の許可も)
- 預貯金(預金債権、貯金債権)を相続させる
- 株式、投資信託、国債などの有価証券を相続させる
- 自動車を相続させる
- 絵画、書画、骨董品などを相続させる
- 宝石や貴金属などの高価な物品を換金して相続させる
- 子供の相続分に差がある場合の対処
- 借金などの負債を相続させる割合を指定する
- 祭祀主宰者を指定する
- 遺産を与えたくない推定相続人を廃除する
- 予備的遺言を書く(相続人や受遺者の死亡に備える)
- 遺言執行者を指定する
- 未成年後見人、未成年後見監督人を指定する
- 生命保険金の受取人を変更する
上記文例の一覧は、下記の記事にてまとめています。
文例集【遺言書の文例集】ご遺族で争わず、無効にしない書き方・表現リストまとめ
以上、配偶者に全財産を相続させる場合の文例でした。今回は子供がいないケースを題材にしたので、かなりシンプルな内容でしたが、子供がいる場合には、子供から遺留分の請求をされる可能性があります。そのため、遺言書にちょっとした工夫を施します。文例は上の記事をご覧ください。
要チェック! 相続、遺言の基礎知識まとめ(カテゴリーごとに解説します)
相続、遺言について深く学ばれたい方はぜひご確認ください。