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遺言執行者に指定されましたが、執行にかかる報酬額はどうやって決まるのでしょうか。

行政書士 タカ行政書士 タカ

遺言執行者の報酬額の決め方は2通りあります。行政書士がわかりやすく解説します。

この記事でわかること

遺言執行者の報酬額の決め方2通り

  1. 遺言による方法と記載例
  2. 家庭裁判所審判による方法と申立書記載例

遺言執行者の報酬額の決め方【2通り】

遺言執行者の報酬については、遺言者が遺言で定める方法と、家庭裁判所の審判により定める方法があります。下記の民法1018条1項にて規定があります。

(遺言執行者の報酬)
第千十八条 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。

(出典:e-gov-民法)

上の条文が意味するところは、遺言執行者の報酬は以下の順番で定められる、ということです。

  1. 遺言者が遺言で定める(遺言者の意思)
  2. 家庭裁判所の審判(遺言で定めない場合)

つまり、まずは遺言者の意思が優先され、遺言による報酬の定めがなかった場合に限り、家庭裁判所が審判により報酬を定めることができるのです。

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遺言で遺言執行者を指定する場合、一緒に報酬額についても記載することができます。

遺言で報酬額の定めがない場合

遺言執行者の報酬額に関する記載が遺言になければ、家庭裁判所に申立てすることで、審判により報酬額を定めてもらうことはできます。

ですが、いきなり申立てをするのではなく、まずは相続人との話し合い(協議)により決定するのが一般的でしょう。

そして、話し合いがまとまらず、遺言執行の作業量からして満足のいく報酬を得られないようであれば、遺言執行者が家庭裁判所に申立てをすることになるでしょう。

遺言による報酬額の定めを変更したい

遺言によって遺言執行者の報酬が定められている場合で、その報酬額を変更できるかが問題となります。

結論として、遺言により定めた報酬額を変更することは可能です。ただし、相続人と遺言執行者の合意による必要があります。

その他、そもそも遺言により報酬が定められていなかった場合でも、相続人と遺言執行者の合意があれば、報酬を定めることも可能です。

相続人が遺言執行者の報酬額を増減させたい場合、遺言執行者の合意が必要であることを知っておきましょう。

遺言執行者の報酬を定める遺言【記載例】

遺言により遺言執行者の指定と、報酬額の定めをすることができます。

書き方に特別な決まりはありませんので、例えば次のように記載しておくと良いです。

(例1)
遺言執行者に対する報酬は、遺言執行時の全相続財産の評価額合計の〇%とする。
(例2)
遺言執行者に対する報酬は、遺言者の長男山田太郎と遺言執行者の協議により決めるものとする。
(例3)
遺言執行者に対する報酬は、金〇万円とする。

上記はあくまで例ですので、財産状況や遺言執行にかかる作業量の程度に応じて、定めていくことになります。

その他、遺言書の記載例(ケース別文例)は「【遺言書の文例集】ご遺族で争わず、無効にしない書き方・表現リスト」をご覧ください。

【参考に】遺言執行者報酬付与審判申立書の記載例

参考までに、家庭裁判所に遺言執行者の報酬を定めてもらう申立てをする場合の、申立書の記載例を以下に示します。

遺言執行者報酬額付与の申立書

遺言執行者報酬額付与の申立書

(出典:書籍「遺言執行実務マニュアル」 弁護士 中根秀樹 著)

基本的には上記記載例のとおり申立書を作成すれば良いです。不明な点は、家庭裁判所の窓口に問い合わせてみると良いです。

また、申立書は家庭裁判所HPにてダウンロード可能です。もしくは、直接窓口に取りに行き、不明な点を一緒に質問してくるのもお勧めです。

上記記載例には添付書類の記載がありますが、これが全てとは限りませんので、事前に問い合わせてみると良いです。

まとめ

以上、遺言執行者の報酬額の決定方法について解説してきました。

相続手続きをスムーズに進めるためにも、遺言書に報酬額の条項を入れておき、遺言執行者となる者とも事前に打ち合わせをしておくと良いです。