遺言を作成する前に、家系図を作っておくと何かと便利です。
自分の親族は誰がいて、はたして誰が相続人となるのかを確認することができるためです。
家系図といっても、簡単なもので良いのです。
この記事では、相続人の範囲の確認から家系図作成、そして遺言の作成までの流れをご説明します。
- 相続人となる者の範囲と相続分について
- 簡単な家系図を作る!書き方、書く内容
- 遺言書と文例(サンプル)を紹介します
相続人の範囲と相続分を確認しておこう
人が亡くなると、相続が開始します。そして、誰が相続人となるのかは法律で定められています。
また、相続人の遺産の取り分のことを相続分といい、これも法律で定められています。
相続人と相続分は、配偶者や子、父母の有無により変わってきます。
つまり、仮に自分が亡くなった場合に、誰が相続人となり、彼らの相続分はいくらになるのかについて、個々の家庭ごとに異なるということですね。
相続についてある程度の知識がないと、いざというときに困るかもしれません。
たとえば、
「相続人だと思っていたが、実は相続人ではなかった!?」
ということや、
「遺産が半分入ってくると思っていたら、1/4しか入ってこなかった・・・」
など、あとあと困ってしまうかもしれないのです。
法定相続人と遺産の取り分(相続分)について
相続が開始したときに、誰が相続人となれるのか、そして遺産の取り分はどれだけか、以下の記事で詳しく解説しています。
法定相続人の範囲と相続順位・相続分を解説【雛形を無料贈呈!】
簡単な家系図を作成してみる!【書き方・書く内容】
被相続人(亡くなられた人)の死後、相続が開始した場合に、誰が相続人となるかが理解できましたら、具体的にあなた自身を中心とした家系図を作ってみましょう。
家系図を眺めることで、改めて「誰が相続人になるのか、相続分はどれだけか」が見えてきます。図に書き込んでみてもよいですね。
ここで、仮に「あなたが亡くなった場合に、相続人となる可能性のある人たち」を以下に示します。
家系図を作成する際は、上図のように絵まで描く必要はありませんが、あなたとの関係(続柄)は書きましょう。
上図のとおり、相続人になる可能性のある人たちは、「配偶者、子、孫、父母、祖父母、兄弟、甥・姪」となります。
もちろん同時に全員が相続人になるわけではありません。
配偶者は必ず相続人ですが、次のように順位が定められています。
- 第1順位の相続人:子や孫
- 第2順位の相続人・・・父母や祖父母
- 第3順位の相続人・・・兄弟姉妹や甥・姪
先順位の相続人が一人でもいれば、後順位の者は相続人にはなれません。
相続人となるはずの子が既に亡くなっていた場合には孫が、兄弟が既に亡くなっていた場合には姪(甥)が代わりに相続する代襲相続という制度があります。
父母がどちらも亡くなっているが、祖父母が存命の場合には、祖父母が相続人となります。
上図のように簡単な家系図を作成してみて、具体的にあたな自身の場合を当てはめてみましょう。
家系図に書き入れる内容は?
上に示したような、あなたを中心とした簡単な家系図を作成し、図の中に以下の情報を書き入れ、整理してみましょう。
- 氏名
- 存命かどうか
- 住所
- 連絡先
既に亡くなっている方がいる場合、その方は相続人にはなりませんので、存命かどうかは書き入れておきます。
住所や連絡先を入れておくことで、相続での手続きが円滑に進みます。
家系図が完成⇒遺言書を書いてみる
家系図を作成し、誰が相続人となるかが整理できましたら、誰に自己の財産を相続させたいのかを考えてみましょう。
遺言書に「妻の花子に土地と建物を相続させる」「長男の太郎に預金1000万円を相続させる」といった具合に、自己の財産をどうしたいのか記載することができます。
遺言書を作らなかった場合は、法定相続人が法定相続分に応じて財産を相続することになります。相続人が全員で遺産分割協議を行えば、その結果に従います。
ですので、あなた自身が、「二男の浩一は病弱なので財産を多めに相続させよう」とか「妻には大変お世話になったので、土地と家を相続させよう」とか考えるのであれば、遺言書は必ず作りましょう。
遺言書を作る以外に、上記のようなあなたの意思が尊重される方法はあり得ません。
遺言書の効力、遺言でできることについて詳しくまとめています。また、遺言書の形式には一定の決まりがあります。形式上の不備があると、遺言が無効になる危険があります。ご注意ください。
遺言書の文例(サンプル)を見てみよう
以下に具体的な遺言書の文例を示します。
(画像をクリックして拡大表示します。)
上記の例では、妻に土地と建物を、長男に預金を相続させています。
そして、長男の妻に遺贈を行っています。長男の妻は本来相続人ではありませんが、財産を与えたい場合には、遺贈という方法があります。
最後に、付言として、長男の妻に遺贈をした理由を書いています。
遺言で「遺贈」をする場合の文例や付言とは何かについて詳しくまとめています。是非ご覧ください。
まとめ
遺言書を作成する前に、ご自分の親戚関係を見直す意味で、家系図を作成してみましょう。そして、人が亡くなった場合に、誰が相続人になり、相続分はいくらかについては知っておくと良いです。
家系図を眺めながら、誰に財産を相続させたいかを考えてみましょう。遺言を書かないと、法律の定めに従って相続が進むので、ご注意ください。
要チェック! 相続、遺言の基礎知識まとめ(カテゴリーごとに解説します)
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